台型の屋根を持った厨子の中に、舎利を納めた宝珠(ほうじゅ)型の塔が入っています。この宝珠は銅製で鍍金が施されており、周囲には高く立ち上る火炎が造形されています。中央の窓から舎利が見え、まさに舎利が宝珠と変成する様を表したかのようです。
全体に質のよい漆塗りがなされ、各所に嵌められた銅製金具も丁寧な作りとなっています。扉の蝶番には蝶が造形され、隅金具には宝相華があしらわれています。
背面には長谷寺式十一面観音(はせでらしきじゅういちめんかんのん)が沈金(ちんきん)の技法であらわされていますが、これはわが国最古例と考えられています。
また厨子の内部には、宝篋印陀羅尼が納入され、永禄5年(1562)に金勝寺の香浄坊秀栄から浄厳坊源慶上人に進上された旨を記した文書が納入されています。
|
※写真をクリックすると、拡大画像を見ることができます。 |