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大きさは幅35.2cm、奥26.4cm、高さが13cmとなり、構造としては、木を用いて形を作り、側面と底板裏面は黒漆で、内側は側面・底ともに朱漆で塗られています。そして外周と縁には銅製鍍金が貼られています。箱(身)の深さはおよそ8cmで下部は台となっています。上下2段に分けられた側面を見ると、上段には蓮華唐草文があらわされています。箱の長側面を見ると上から見た姿の蓮華が3個配置されており、蓮華と蓮華をつなぐように唐草があしらわれています。
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本品の底板裏面には伝来を示す銘文があり、朱漆で「大永辛巳年吉月/東大寺/二月堂什物」とあります。つまり、室町時代の大永元年(1521)に制作され、奈良・東大寺二月堂の什物であったことが記されています。昭和28年(1953)に文化館の館蔵品となりましたが、その間の経過は明らかではありません。