説相箱は、僧具の一つです。僧具は僧侶にとって日常的に必要な道具であり、例としては水瓶や鉢、錫杖、如意や払子(ほっす)などがあります。説相箱は、居箱(すえばこ)、据箱(すえばこ)、接僧箱(せっすばこ)ともいい、僧侶が法会に用いる衣や法具、表白文(ひょうびゃくぶん)などを入れておく木箱です。
大きさは幅35.2cm、奥26.4cm、高さが13cmとなり、構造としては、木を用いて形を作り、側面と底板裏面は黒漆で、内側は側面・底ともに朱漆で塗られています。そして外周と縁には銅製鍍金が貼られています。箱(身)の深さはおよそ8cmで下部は台となっています。上下2段に分けられた側面を見ると、上段には蓮華唐草文があらわされています。箱の長側面を見ると上から見た姿の蓮華が3個配置されており、蓮華と蓮華をつなぐように唐草があしらわれています。 蓮肉には二重丸(◎)の形をした蓮子(蓮の実)が11個、ランダムに配置され、蓮華文と唐草文の隙間には、小円が所狭しと打たれています。下段に目を移すと、無地の正方形と文様のある正方形で市松模様が構成されており、文様のある方は1辺が1cmほどの正方形の中に、3つの小円を規則正しく打ち込んだ魚々子(ななこ)模様が縦に5段横に2列に配置された非常に細かい技法が施されています。上下段の区切りとなる帯はボリュームをもたせた高肉で表現されています。
本品の底板裏面には伝来を示す銘文があり、朱漆で「大永辛巳年吉月/東大寺/二月堂什物」とあります。つまり、室町時代の大永元年(1521)に制作され、奈良・東大寺二月堂の什物であったことが記されています。昭和28年(1953)に文化館の館蔵品となりましたが、その間の経過は明らかではありません。
大きさは幅35.2cm、奥26.4cm、高さが13cmとなり、構造としては、木を用いて形を作り、側面と底板裏面は黒漆で、内側は側面・底ともに朱漆で塗られています。そして外周と縁には銅製鍍金が貼られています。箱(身)の深さはおよそ8cmで下部は台となっています。上下2段に分けられた側面を見ると、上段には蓮華唐草文があらわされています。箱の長側面を見ると上から見た姿の蓮華が3個配置されており、蓮華と蓮華をつなぐように唐草があしらわれています。 蓮肉には二重丸(◎)の形をした蓮子(蓮の実)が11個、ランダムに配置され、蓮華文と唐草文の隙間には、小円が所狭しと打たれています。下段に目を移すと、無地の正方形と文様のある正方形で市松模様が構成されており、文様のある方は1辺が1cmほどの正方形の中に、3つの小円を規則正しく打ち込んだ魚々子(ななこ)模様が縦に5段横に2列に配置された非常に細かい技法が施されています。上下段の区切りとなる帯はボリュームをもたせた高肉で表現されています。
本品の底板裏面には伝来を示す銘文があり、朱漆で「大永辛巳年吉月/東大寺/二月堂什物」とあります。つまり、室町時代の大永元年(1521)に制作され、奈良・東大寺二月堂の什物であったことが記されています。昭和28年(1953)に文化館の館蔵品となりましたが、その間の経過は明らかではありません。