金剛杵(こんごうしょ)は、もとは古代インドの武器に起源があり、密教では煩悩(ぼんのう)を打ち砕く象徴として用いられます。金勝寺には、一具(いちぐ:ひとそろい)と思われる独鈷杵(とっこしょ)と五鈷杵(ごこしょ)が伝わっています。把(つか)は太めで中央に総髪・巻髪の鬼面を4箇めぐらし、その左右は連珠文帯で束ねた八葉蓮弁で飾っています。独鈷杵・五鈷杵の鈷(こ)部はいずれも匙面(さじめん)をとらず、五鈷杵の中鈷は根元に節を作り、脇鈷は穏やかな逆刺(さかし)を付けています。総体に重厚で肉厚気味に作られており、鎌倉時代に制作された特徴を示す品です。
( 田澤 梓 )
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【 独鈷杵 】
【 五鈷杵 】
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