版本法華経(百済寺版) 8巻 | 滋賀県指定有形文化財 南北朝時代 |
甲賀市 櫟野寺所蔵 | 法量 45.2 × 26.1㎝ (第2紙) |
甲賀市櫟野に所在する櫟野寺は、『櫟野寺由来記』によると、伝教大師最澄が延暦11年(792)にこの地に赴き、霊夢を受けて櫟木に十一面観音像を彫り、安置したことに始まる天台宗寺院です。同21年には、坂上田村麻呂が鈴鹿の山賊を追討するに際して本尊に祈願した寺院としても知られており、甲賀における天台宗寺院の一大拠点です。本尊は、日本最大の坐仏とされる十一面観音坐像であり、本堂の厨子内に安置されています。 この法華経は、巻第八の刊記によると、比丘源耀(びくげんよう)が願主となり、明徳2年(1391)に近江百済寺において開版されたものであることが知られます。また巻第一・七・八の天に記された墨書銘より、悲母妙心禅尼の三十三回忌追善のために摺写されたものとも知られます。謹厳な書体には春日版の影響が指摘され、文節には朱点が記されていることから、実用された経典であることが分かります。近江における版経(版木などで摺写された経典)を知る上で貴重な作品です。 |
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※「版本法華経(百済寺版)」は、令和6年(2024)9月21日から11月24日まで、(公財)日本習字教育財団観峰館にて開催の「滋賀限定!近江ゆかりの書画-古写経から近代の書まで-」に出展しています。 |