琵琶湖文化館 the Museum Of Shiga Pref
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近江の文化財

 屏風(びょうぶ)構造見本    6曲1隻   近・現代  本館蔵
 屏風は空間の間仕切りとして、あるいは装飾として用いられてきた。屏風の員数(いんずう)、つまり数え方は「六曲一隻」であればパネルが6扇(曲)で一つの屏風、「六曲一双」が6扇(曲)で一つの屏風が二つで1セットという意味で、扇の数が二つであれば、6の数字を2に変えればいいということになる。
 屏風が展示される場合は絵の描かれている画が来館者側を向いており、裏面がどうなっているのかを見ていただく機会はあまりない。また、見えるのは絵や文字と木製の縁だけで、絵の下がどういう構造になっているのかを見ていただくこともできない。そこで、文化館では六曲一隻の屏風の構造見本を平成18年(2006)に制作した。サイズは通常の屏風の3分の1ほどであるが、6扇をうまく使って屏風を作る行程がわかるように作業ごとに段階を設けて仕上げてあるので、格子に組まれた骨組みの様子や張り重ねられた紙の様子などを見ることができる。絵や文字が書かれた紙(本紙)だけでなく、何枚もの紙が重ねられた丁寧なつくりとなっていることが分かる。
 屏風の裏面には通常、鳥文や竹文などの唐紙(和紙に雲母や絵の具を使い文様を刷ったもの)が使用されている。屏風を数多く収蔵している文化館では屏風を閉じた状態でおおよその場所を決めて保存しているが、目的の屏風を探す際に裏面の唐紙の文様で見分ける学芸員もいる。同じ鳥をモチーフにした文様でも、細かな部分に違いがあったり、或いは同じ物が別の屏風にも使用されていたりと、実は裏面の唐紙を見るのも楽しみである。この構造見本にはサイズに合わせて小さな雀文の唐紙が張り付けられている。
(平成19年作成)