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屏風が展示される場合は絵の描かれている画が来館者側を向いており、裏面がどうなっているのかを見ていただく機会はあまりない。また、見えるのは絵や文字と木製の縁だけで、絵の下がどういう構造になっているのかを見ていただくこともできない。そこで、文化館では六曲一隻の屏風の構造見本を平成18年(2006)に制作した。
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屏風の裏面には通常、鳥文や竹文などの唐紙(和紙に雲母や絵の具を使い文様を刷ったもの)が使用されている。屏風を数多く収蔵している文化館では屏風を閉じた状態でおおよその場所を決めて保存しているが、目的の屏風を探す際に裏面の唐紙の文様で見分ける学芸員もいる。同じ鳥をモチーフにした文様でも、細かな部分に違いがあったり、或いは同じ物が別の屏風にも使用されていたりと、実は裏面の唐紙を見るのも楽しみである。この構造見本にはサイズに合わせて小さな雀文の唐紙が張り付けられている。
(平成19年作成)