【明治モノ語り】:番外編

皆さんお楽しみいただけましたか?5月のあきつブログは、今年が「明治150年」にあたることから、「文化館的『明治』集中月間」として、館蔵品の中からいくつか作品紹介をしてきました。読みやすく親しみやすい文章で書くことを信条としたブログを中心に、「興味を持って貰えたら嬉しいな」と、そんな気持ちで始まった「明治モノ語り」。それなら統一タイトルは「チョコっと明治」にする?という提案がありましたが、職場内で異議申し立てがあり即却下・・・実際には、それこそ甘いチョコレートが必要なくらい知的労働に明け暮れる日々を送ることになりました。。。

少し僕の話になりますが、中学・高校と社会科の授業で近・現代は(3学期後半で時間がないため)先生もほぼスッ飛ばし・・・あまり記憶にゴザイマセン。ですので実は苦手です(泣)。
それでも、紹介する作品が決まり、職場の皆さんと「あーだ」「こーだ」話をしていると、いろんな発見がありました。(一番の発見は職員の中に「隠れ幕末・維新マニア」がいたこと!学生の頃に史実を追って様々な歴史の舞台を訪ね歩いたそうです!)
この1ヶ月、職場の皆さんに触発されながら、素人ながらにいろいろと調べ(学べた気になっている僕ですが)、身に沁みて感じたことがあります。それは「近代は史実がハッキリと残り過ぎているだけに、短い文章で紹介するのは存外に難しい!」ということでした。悩みながら作業を進める僕でしたが、そこは休館していても文化館!「この資料調べてみては」と助言をくれる、調べもの・調べ方についてのエキスパートが身近にいて下さったので、とても有り難かったデス。ご縁あって文化館のキャラクターとなった僕ですが、楽しくお仕事させていただいております。

気付いたのですが、ひとえに「文化財」と言っても、楽しみ方がいろいろありますね。作品自体の美しさ、繊細さ、力強さなどを感じとる楽しみ方。作品の時代背景や作者の意図を読み解く楽しみ方。そして今回僕は、作品について「調べる」という楽しみ方を知りました。どれも、作品とじっくり向き合うことで得られる楽しみです。
文化財の楽しみ方は多種多様、広がる世界がいっぱいあります。一つの作品をきっかけに、皆さんもいろんな楽しみ方を見付けて下さいね。

ちなみに僕が書いた「大津事件関係資料」は内容的にほぼ番外編(ゴメンナサイ)。裏ネタ的要素が強いのですが、大津事件が起こった頃の滋賀県史関連の図書を調べると、必ずと言っていいほど、すぐ隣に「琵琶湖疎水」の記事が載っていました。なるほど琵琶湖疎水も明治期の滋賀県にとって一大事業。「調べる」楽しみの余波として、ここまで読んで下さった皆さんへ、今春のサービスカットをご紹介。是非訪ねてみたい明治の文化遺産です。

※「明治モノ語り」は今後も継続予定~乞うご期待!

筆:あきつ

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【明治モノ語り】山元春挙の書蹟

明治150年にちなんでの、ブログでチョコっと収蔵資料紹介、第3弾です!今回取り上げるのは、明治生まれで、湖国滋賀ゆかりの日本画家・山元春挙の作品。といっても、画家として有名な春挙の絵画作品ではなく、書蹟です。これまた珍しい?!!

まずは、山元春挙って誰?という人のために、ご説明を。明治4年(1871)、大津は膳所(文化館の近くです)に生まれた春挙は、円山応挙に始まる京都の円山派に絵を学び、16歳で京都青年絵画研究会に出品して入賞し(スゴイ!)、世間の注目をあつめます。以後、各種の展覧会や博覧会で順調に受賞を重ね、のちには京都市立美術工芸学校などの教授として、また画塾「早苗会」を指導して多くの画家を育てる一方、大正6年(1917)には帝室技芸員となり、昭和8年(1933)、63歳でその生涯を閉じるまで、近代京都画壇の重鎮として活躍した人物です。春挙はまた、伝統に基づきながらも時代に応じた新たな技法を積極的に取り入れ、日本画の近代化に大きく貢献した画家としても知られています(ホ~!)。

さて、こちらが春挙の書いた書です。全体に、線はやや細めですが、一字一字力強くしっかりと書かれています。右の大きな2文字は「撥雲(はつうん:暗雲を取り除くという意味)」ですね。そして、左の2行は「寒梅始綻/野村南(寒梅始メテ綻フ/野村ノ南)」と書かれています。こちらは、永源寺の開祖・寂室元光(1290-136)の偈頌(げじゅ:仏の教えを詩歌の形で分かり易く説いたもの)から採られたもののようです。句の意味は。。。え~っと、禅の言葉なのでやはり難解ですね~。ここはみなさま、自力で悟りを開いて頂くことにいたしましょう(笑)。

ところで、彼はなぜこんな禅語を書き残したのでしょう???春挙は特に、透明感のある鮮やかな色彩による風景画を得意としましたが、それらは精神性の深い迫真の画面が描かれているとして高い評価を得ました。実は、春挙という人は、20代の頃から京都の天龍寺に通い禅の教えを学んでいたようで、そこで禅を通して物事の内面を見る眼力を養っていたということです。なるほど!!春挙の絵の奥深くから滲み出てくる精神性というのは、対象の内側を深~く深~く見つめる中で、ようやく”暗雲”を取り除いて体得した「真理」なのかも知れませんね。そして、その真理はまた東洋の理想にまでつながるものだったのかも???春挙の絵は今までに何度も見ているのですが。。。禅だけに、ゼ~ンゼン気が付きませんでした(笑)。ワタクシまだまだ修行が足りませんね。

さてさて、「脱亜入欧」の掛け声のもと、近代国家建設への道を駆け足で進んだのが明治時代です。もちろんその頃と現代とでは、国の内外の状況は全く違いますが、時代はまた急速な変化を遂げつつあります。そんな中、私たちも物事の本質を見極める眼力をしっかりと養っていくことが大事なのでしょうね。春挙の書蹟を前にして、そんなことを思います。。。

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プレ講座を開催しました。

毎年、ご好評いただいている滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。有り難いことに前年度で節目の10年目を迎え、講座開講11年目の新たなスタートを記念し、本編の開催に先立って、昨日、プレ講座を開催しました。講師は滋賀県教育委員会文化財保護課の井上優氏で、平成29年に県の指定文化財となった東近江市・松尾神社さんの「こけら経」について、お話しいただきました。年度当初の短い告知期間にも関わらす、86名もの方々にご来場いただき、誠にありがとうございました。
参加者の皆さんは初め、スクリーンに映された謎の渦巻き状の物体に、????といった反応でした。ところが、一括しているリング状のタガを外すと、実はお経(法華経と開結二経)の経文を約5000枚もの細い板材に一行ずつ書写した集合体であることがわかり、驚きを隠せない様子でした。さらに、1枚1枚の形状をみていくと、上部に細かい切れ目を入れるなど墓地で目にする塔婆形(圭頭)の細工が施されています。これは、お経を書写する写経供養と、造塔を建立して功徳を得ようとする造塔信仰を併せ持つことを示してるということです。
なお、こけら経の発見例は発掘調査による場合が多く、比較的状態が良く伝わる社寺での伝世品という例は少ないのが実情で、経文の内容が判然としないものが未だ2割ほどあるとか。しかし近年の、研究データの電子共有化によって、照会が容易となりつつあり、こけら経による仏教文化史研究、地域文化の研究も活発化の動きをみせているそうです。
そして本品が特記すべき点は、社殿本殿内陣の、しかも神様(主神)を安置する宮殿(くうでん)のすぐ側に置かれていたことで、神仏習合期のこけら経受容の内実を知ることのできる現在唯一の例となります。今後のさらなる研究が期待されます。
最後は講座の内容をふまえたクイズを出題。皆さんしっかりと学ばれたようで、正解者続出!?告知のとおり、素敵なプレゼントをお持ち帰りいただきました。

そしていよいよ6月からは本編がスタートします!今年はびわ湖花街道さんをネーミングライツパートナーに「花湖さんの打出のコヅチ」としてさらにパワーアップ(花湖さんについてはコチラ)。第1回は6月21日(木)開催で、文化財保護課民俗担当の矢田直樹氏が前年度に指定となった日野町・馬見岡綿向神社さんの「巨大絵馬」について報告されます(講座内容についてはコチラ)。是非是非、ご参加ください。

学芸員W

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【明治モノ語り】大久保利通の書蹟

今年は明治維新から150年。放送されている大河ドラマも、まさしくその激動の時代を描いた「西郷どん」で話題となっています。ドラマでは俳優の瑛太さんが、”せごどん”こと西郷隆盛の盟友でライバルでもある大久保利通を演じていますが、本日5月14日は、その大久保利通の命日にあたります。

幕末・維新…滋賀県とは所縁がうすいように思われますが、当館の館蔵品には、幕末志士や近代の偉人たちが書いた書蹟を多数収蔵しており、その中に大久保利通が書いた書蹟もあります。ということで、今回は、その作品をチョコっとご紹介します。

それがコチラ!う~ん、達筆すぎて難解ですよね。事務方で働く素人の私には全く読めません(笑)。聞くところによると、これには漢詩が書かれており、大久保利通が通州の運河を下った時に詠んだ詩だとか。通州とは、今の中国北京市通州区のことで、北京と天津を結ぶ運河の北に位置します。大久保利通は、明治7年(1874)5月に起きた台湾出兵の和平交渉のため、日本側の全権弁理大臣として、同年8月に清国の首都北京へ向かいました。難航した交渉はイギリスの調停もあり、10月末に和議が成立します。
幕末に、新時代を築くために奔走した大久保利通は、明治になってからも、日本のために尽力します。この書蹟の文字からも、その勢いのある力強さが感じられます。

盟友だった西郷隆盛は、征韓論によって野に下り、明治10年(1877)に西南戦争で自刃して亡くなりますが、大久保利通もまた翌年5月14日、東京・紀尾井坂で不平士族の暗殺によって亡くなります。奇しくも、維新で活躍した薩摩藩士2人は、同じ頃にこの世を去り、明治をたった10年しか見ることができなかったのですね。。。

文化館では、開館間もない昭和37年(1962)に「ここ百年書蹟展」が開催され、この書蹟も展示されました。「ここ百年」が、今や「ここ百五十年」。歴史と共に文化財も大事に守っていきたい。。。改めて、しんみりと思ったのでした。。。

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【明治モノ語り】大津事件関係資料

平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から起算して満150年の年に当たります。故にこれに因んだ企画展や特別展を、他の博物館・美術館さんが開催されているので、皆さんもよく目にされていることと思います。
「明治」を一言でいえば「激動」の時代、大きく歴史が動いた時代でもあります。文化館的に、当館の数ある収蔵品の中から、明治にかかわる珠玉の逸品を紹介するならば・・・ここはやはり、トップバッターにこの資料を紹介せねばなりません。そう、「大津事件 関係資料」です!

「大津事件」は、1891年(明治24年)5月11日、訪日中のロシア皇太子ニコライが、遊覧先の大津の地で、警備にあたっていた巡査・津田三蔵にサーベルで切りつけられ負傷した事件です。この事件は、その後の裁判で「司法権の独立」を守ったことにより、三権分立の意識を広めたことなど、近代日本史において重要な事件とされています。事件の詳細は、様々な解説本や国立公文書館さんのサイトなどに掲載されていますので、是非参考になさって下さい。

当館が所蔵する「大津事件関係資料」の中には、サーベルやニコライの血をぬぐったハンカチ、ニコライが腰を掛けた床几(しょうぎ)や座布団のほか、津田の取り調べ調書などがあり、滋賀県の指定文化財となっています。ホームページのブログでも、2015年5月8日付け「事件です。」や、滋賀咲くブログ2007年12月7日付け「大津事件っっっ!」などで紹介をしていますが、今回は、『あきつブログ』ならではの切り口で、この大津事件に絡んで(?!)みたいと思います。

突然ですが、皆さん。。「銃砲刀剣類所持等取締法」というのをご存知ですか?銃や刀剣類は、原則として所持することは出来ませんが、銃砲刀剣類所持等取締法第14条により、美術品もしくは骨董品として価値のある火縄式古式銃砲等の古式銃砲及び刀剣類は、都道府県の公安委員会の許可(銃砲刀剣類登録証の交付)を受ければ所持することができるようになっています。博物館においては「展示物として公衆の観覧に供するため」(同法第4条)、所持することが許されています。

ということは?!・・・実は大津事件関連資料の中にも、この「登録証」の交付を受けているモノがあります!そう、凶器となった「サーベル」です。このサーベルは、日本刀を改良したものであり、立派な「刀剣」に当たります。故に博物館資料と言えども、きちんと登録証の交付を受け、法に則った手続きが行われている!のですよ~。
先日も、滋賀県から「銃砲刀剣類を保有する公立博物館等に係る調査」があり、保管・管理状況等について報告させていただきました。

明治の大事件を振り返りつつ、歴史の生き証人である博物館資料との関わりについて、あきつブログ的にちょこっとご紹介・・・してみました。

筆:あきつ

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イイコトあるかも?「打出のコヅチ」プレ講座

いよいよ迫ってまいりました、来週の木曜日(5/17)に開催される滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」プレ講座のご案内です。

もうご存知の方も大勢いらっしゃる(?)と思いますが、滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」は昨年度で10周年を迎え、これまで支えて下さった受講者のみなさまへの感謝と、11年目の新たなスタートに向けて、今年度は特別に開催直前プレ講座を企画いたしました。

今回のプレ講座では、滋賀県教育委員会文化財保護課の井上優氏をお迎えして、「神社本殿から、木の経典を発見!-東近江市松尾神社法華経-」というテーマでお話いただきます(プレ講座の内容については、こちらのページに詳しくご紹介しております)。

さて、このプレ講座に関して、耳よりの情報です。今回はなんと、プレ講座に参加してチラシの裏面にあるクイズに答えると、正解者には素敵なプレゼント!という特別企画をご用意いたしました。

プレ講座のチラシは、県内の博物館・図書館に配置しております(入手できなかった方には、当日会場でお配りします)。というわけで、みなさまにはぜひ、チラシを1枚シッカリと握りしめて、会場へお越しいただきたいと思っております。

さあ、「まだ申し込んでいなかった~!」という方、今ならまだ間に合います。どうぞお早目にお申込みくださいね(申込は電話・FAXまたはメールで琵琶湖文化館まで)。

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ホームページ4月のアクセス数

本日は5月1日。ゴールデンウィークの真っただ中ですが、みなさまどのようにお過ごしですか?前半の3連休が明けて、久しぶりの登校や出勤という方もいらっしゃるでしょう。
さて、私も久し振りに出勤して、はっと気が付きました!ほんの一ヶ月前には、桜舞い散る景色だったのに、あたりはすっかり初夏の装い。新緑の若葉に包まれています。そして、このみずみずしい新緑に取り囲まれた文化館の。。。あら?別館の、夢殿を思わせる八角形の屋根の頂きには、何かがありますね?何でしょう?ズームアップして見てみましょう(↓)。

これはよく蓮の花に間違えられるのですが、シャクナゲのツボミなんです。滋賀県の花でもあるシャクナゲの花は、ちょうど今、4月下旬~5月上旬が見頃で、今年も県内各地の名所からの開花情報が聞こえてきていますよね。そんな便りを聞くと、別館の屋根の上のツボミも、気のせいか、いつもより大きく膨らんでいるように見えてきます。。。

それはさておき、平成30年度最初の月、4月のホームページアクセス数は、なんと1,541件!昨年度末の3月より大幅な増加となりました。みなさま、どうもありがとうございました。特に増えたのがページビュー数。ご訪問いただいた方が、今まで以上に多くのページを閲覧して下さっているようです。

「なぜまた急に?」って、そんなこと言わないで下さい。4月24日のブログをご覧になった方はもうご存知ですよね?お知らせいたしました通り、この4月には「浮城モノ語り」の目次ページを大きく改新いたしました!目次には、ご覧のとおり写真をたくさん入れましたので、内容が一目で分かり、記事を探しやすくなったのではないかと思います(まだの方、ぜひご一見くださいませ)。この改新作業、けっこう大変だったんですが。。。職員が皆、力を合わせて取り組んだ効果が、さっそくこの数字にも表れてきたと思うと、がんばった甲斐があった。。。かな?

文化館ではこれからも、見やすく使いやすい(=だから、ついつい見てみてしまう(笑))ホームページ作りを心がけて行きたいと思っております。次はどんな改新があるのか?これからも楽しみにご覧下さいね。では、5月も「あきつブログ」をどうぞよろしく!

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夢か現か 猿の面影

現代の桃源郷として人気を集めるMIHOミュージアムさんで、春季特別展「猿楽と面―大和・近江および白山の周辺から」が開催中です(会期は6月3日まで)。
タイトルにある「猿楽(さるがく)」というのは、何でしょうか?これは、奈良時代に中国より伝わった「散楽(さんがく)」に由来する、歌や踊りを伴う芸能のことで、平安時代・鎌倉時代から盛んになりました。皆さまは「能楽」というのをよくご存知だと思いますが、これの古い呼び方でもあります。念のため付け加えると、猿楽の演者はもちろん「人間さま」で、「お猿さん」とは関係がないそうです(笑)。

今回のMIHOさんの展示には、そんな猿楽に使われた面(「おもて」と言うそうです)が、なんと350点も!集められています。そしてその中に、普段は文化館でお預かりしている、滋賀各地の神社に古くから伝わる貴重な面も出品されている、というわけなのです(詳しくは「収蔵品公開情報」をご覧ください)。

展示室に入ると、そこには各地から集められた面がズラリと並び、まさに圧巻としか言いようがありません!それに、よく「無表情」という意味で「能面のよう」という言葉が使われますが、それが間違った使い方ではないかと思うほど、各々の面には表情があって、とっ~ても魅力的です。特に、色白+シワくちゃ=キュートな「翁」の面などを見ていると。。。「お猿さん」とは関係がないと言われても、どうにも「お猿さん」の顔に見えてきて仕方がない。。。本当に関係はないのかしらん?

人々が「猿楽」に熱狂したという室町時代。近江にも、多賀大社や日吉大社に属した猿楽座(役者のグループ)が6つもあったと伝えられます。なかでも大津・坂本の比叡(日吉)座は、犬王(道阿弥)という一世を風靡するような役者を輩出したとか!!日吉大社というと、そういえば、「神猿(まさる)」という神様のお使いがいて、「お猿さん」と縁の深い神社ですよね。そんな神社へ奉納する芸能の中で、猿を彷彿とさせる面を付け、物まね(猿真似?)などの芸を披露したなら、神様もきっとお楽しみになった違いない。だから、「猿楽」がもとは「散楽」であったのだとしても、そこにいつかの時点で、「お猿さま(=神様の化身)が楽しむもの」という意味も加わっていったのではないか???などと、またまた勝手な妄想を抱きながら、名残り惜しく展示室を去るのでありました。。。

それはさておき、GWも目前です。これからは新緑の美しい季節。信楽山中の、まさしく幽玄なる世界の中で、面に面と向き合って、静かに対話してみるのもおススメです。(会期中に展示替えがありますので、お目当ての作品のある方はご注意くださいね。)

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ホームページの改新

みなさん、お気付きになられましたか??収蔵品紹介の中でも特に当館の館蔵品を紹介する「浮城モノ語り」のサイトが、見やすくなりました![こちらをチェック!]
そもそもこのコーナー、休館となってから公開の機会が少なくなった館蔵品を、ホームページで積極的に紹介し、当館にあるコレクションの多様さを知っていただこう!と、平成26年度にスタートしたものです。現在は月1回の更新を心掛け、それも今まで継続してこられたおかげで、今回が記念すべき第50話となりました。
積み重ねとは大事なことですね。とは言え、第○話の回数が増えると、実は見えないところで更新に手を入れなければならない箇所が増え、本編の文章を書くより、更新作業の方が手間がかかる・・・という困った状態になり、更新の度に職員から(クレームにも似た)悲鳴が上がるようになりました。。。それならば!と50話突破を記念して、思い切ってこの「リニューアル」を決行したというわけなのです。どうですか?みなさん、見やすくなりました?画像を配置したことにより、「あ、これも見てみようかな」という気になっていただけた・・・ならば、このリニューアルは大成功?!ということに!・・・職場内では評判も上々なのですがね(笑)。
ホームページ画面の体裁を、「元(システム)」から改めるのには、作業にあたる「時間」と「勇気」が必要です。「勇気」コレすごく大事です。画面に反映させるために設定するコードは、英語表記に数字の羅列・・・解説書はカタカナばかりで、「お願い!頼むから日本語で説明を!」と攻略本にむかって何度悪態をついたかワカリマセン。それでも「もっと見やすく、使いやすくしなければ」と、改新のための勇気を持てたのは、昨年度末に発行した『研究紀要第34号』に「琵琶湖文化館におけるホームページの役割りについて」を、まとめたことがきっかけとなりました。
休館となった平成20年度以降、当館のホームページは、常に「休館中」であることを意識し、展示公開の機会が減った収蔵品紹介の充実、文化財情報の発信などを行ってきました。時には利便性やデザイン性を改め、閲覧して下さるみなさんを飽きさせない工夫を行い、より魅力的なホームページ作りへと、手を加えてきた結果です。また、その都度、更新の苦労をしてきた歴代職員さん達の顔を思い浮かべると、ここは「踏ん張りどころ」で「頑張りどころ」でした。まだまだ改変の余地はありますが、今後も「見やすく分かりやすい情報」を提供できるように、みんなで頑張っていきたいと思います。

と、早速、「ご意見・ご感想」に、この小さな(?)リニューアルに気付いて下さった方が、感想を送って下さいました。このような反応があるとすごく励まされます。有り難うございます。お気付きですか?「浮城モノ語り」各話の印刷ページに、使いやすく[印刷する]ボタンが追加されましたよ!是非プリントアウトして、お気に入りの【コレクション】に加えて下さいね~。

筆:あきつ

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リアル!文化館のクジャク

突然ですが、みなさんはクジャクについて詳しく知っていますか?中国、東南アジア、南アジアを中心に生息していて、日本には中国から伝わったようです。異国からやってきた、羽を広げると美しくゴージャスな鳥に、当時の人もトリコになったのでしょうか?日本でも多くの画家が好んでクジャクの姿を描いています。当館の館蔵品の中にもクジャクを描いた作品があり「収蔵品紹介:絵画部門」では、2点をご紹介しています。そのうちのひとつ、江戸時代の画家・張月樵(ちょう げっしょう)が描いた「長春孔雀図」について。。。いきなりですがクイズです!!

クジャクは、頭部から頸部にかけての違いで2種類を見分けることができるそうです。インドクジャクは濃い青色、マクジャクは緑色のうろこ状の模様があるのだとか。。。では、この絵に描かれたクジャクは、”インドクジャク”?それとも”マクジャク”?さて、どちらでしょう?!
クジャクについて詳しくない私は、「えっ?違いなんて本当にあるの!?」と思ってしまいました。。。しかし、改めてこの絵を見ると、首のところが緑色のうろこ状で描かれているのを発見!つまり、正解はマクジャクなのです!

種類の違いはさておき、こんなにも緻密にかつリアルにクジャクを描くことができるなんて、張月樵さんってスゴイ!と思いました。

この凄技絵画、見てみたいと思われました?実は、東京・府中市美術館で開催されている展覧会「リアル 最大の奇抜」に、ただ今出品中です(5月6日まで)。是非とも、このリアルを会場でご堪能ください!

収蔵品の他館への貸出しという機会ではありますが、遠く関東の地で、当館の作品が皆さまのお目にとまり、新たなご縁となりましたら幸いです。

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文化財の保存環境②

先日、当館における文化財の保存環境、特に温湿度についてのお話をこのブログで紹介させていただきました。
皆さんの中には、「琵琶湖の上で大丈夫?湿度が高いのでは?」と、心配される方もいらっしゃるかもしれません。ということで、連載させていただきます。

文化財の保存環境について、湿度から言えば、特にカビの予防には、60%以下に保つことが理想とされていますが、木製品や漆器などの工芸品などには、乾燥しすぎるとひび割れの原因となるため、50%以上が望ましいと言われています。温度についても、高温になると施設内の絶対湿度(空気中の水分量)が高くなるため、注意が必要となります。

琵琶湖文化館は湖の上に建つ・・・湿度が心配・・・。まさしくそれは、昭和36年の開館当初から、危惧されていたことであり、そのために一日3回、展示室と収蔵庫の温湿度を計測し、当時は月末に文化財保護委員会(現:文化庁)への報告が必要であったと聞いています。観測を継続した結果、展示・保存環境に問題のない湿度が、安定的に維持されている施設であることが証明され、現在の収蔵環境に至っています。

当館はコンクリート製の建物ですが、文化財を保管する収蔵庫は、調湿機能が得られるよう木材で仕立てられ(木は周囲の温度や湿度に合わせて空気中の水分を吸ったり吐いたりして調整してくれます)、保存環境をより安定した状態に保つための工夫が施されています。また、屏風、彫刻、掛軸・経典類、考古資料・陶器などの工芸品、といったように、種類(素材)毎に保管する部屋を分けることで、きめ細かな湿度管理をし易くしています。

文化財にとってより良い環境を保つために出来ることを。皆で力を合わせて文化財を守っていきたいと思います。

筆:あきつ

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文化財の保存環境

皆さんは、展覧会の会場でこのような物体を見た記憶はございませんか?一般の人にはあまり見えないよう、展示ケースの奥の方にコソ~っと置いてあるので、気付かれないかもしれません。大きさは約8cmほど、画面はデジタル表示でアンテナのような物がついています。実はコレ、文化財の保存環境を維持する上で、非常に重要な役割を果たしています。
文化財にとって、とても厄介なのは、素材を食い荒らすシミやチャタテムシなどの「文化財害虫」と、資料の劣化を早めてしまう「温湿度」です。温湿度が急激に変化すると、文化財の素材によっては伸び縮みが起こったりして、劣化の元にもなりますし、ある一定の温湿度が続くと、カビや虫が発生しやすくなったりもします。そこで登場するのが、このゲーム機(?)のような物体。「データロガー」というアイテムで、展示ケースや収蔵庫の中の温度と湿度変化を記録し、急激な変化が起きていないか、その見張り番として活躍します。

当館で今まで使っていたデータロガーは、旧式のパソコンでしかデータを取得することができず、現在使用しているパソコンとの互換性がとれなくなってきたため、新バージョンを導入することになりました。正常に作動するかどうか、新旧を並べて確認をしてみたところ、そこはさすがにおNew。感度は今までより更に向上しているようで、安心して見張りをお任せしていくことになりました。
このデータロガーは、数分毎にデータが記録できるように設定されています。定期的に記録を確認しますが、当館では1日の中での急激な気温変化は見られず、湿度についても一般的に博物館において基準値とされる50~60%を概ね維持するなど、文化財の保存環境として皆さまに安心していただける数値を得ています。
日常管理の点検もさることながら、年間を通じて蓄積されるデータを分析することで、施設としての特徴や各展示ケースの特質などを把握します。

文化財の適切な保存環境を維持するためには、その「時」だけの対応では不十分といえます。年間を通じたモニタリング、館独自の経験値からくる予測と対応。それらをうまく調整し、管理していくことが必要となるのです。
これからも、文化財に負担をかけないよう、適切な保存環境を維持できるように、努めてまいりたいと思います。

筆:あきつ

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浅井長政像

滋賀の湖北地域に桜が咲くころ~~。毎年この時季に当館では、長浜市の旧湖北町で行われる戦国大名:浅井長政氏の法要のため、お預かりしている絹本著色「浅井長政像」(滋賀県指定文化財)を一時返却にうかがっています。
あきつブログ読者の常連さんの中には、「また今年もその話題?」と思う方がいらっしゃるかもしれません・・・ので、今年は少し角度を変えて(?!)ご紹介します~。

当館がお預かりしている「浅井長政像」は、ホームページの収蔵品紹介:絵画部門の中で紹介していますが、画面上部に書かれている「賛」によると、長政の一周忌を経て作られた、いわゆる本尊とされる御像です。今から約400年余り前から時代を経て、人々に守り伝えられてきた作品です。[詳しくはコチラ]

一方で、この掛軸が製作された当時の様子はどうであったか・・・というのも少し気になるところ。実は、ちょうど今、滋賀県立安土城考古博物館さんの企画展「収蔵品で語る城郭と考古」展で、この掛軸の復元資料が8日まで展示されています(会期:残りわずか!)。
展示されている作品は、平成8年に作られた復元模写で、元々の掛軸の表面観察や赤外線写真、他の画像からの研究等により、当時の姿が鮮やかに再現されています。会場で見た時には「お~っと!見た事のあるこの御方は、当館でお預かりしている長政さま!なんて鮮やかな!」と驚いて足を止めてしまいました。
タイムスリップとはこんな感じ?(笑)。

永い時を経て、人々に拝まれ供養されてきた長政像は、ふっくらとした面持ちながら叡智と威厳をたたえているかのようです。現代に蘇った長政像は、28歳で亡くなった若武者の精悍さと清々しさが感じられます。どちらも後世に長く残ってほしい作品です。

筆:あきつ

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ホームページ3月のアクセス数

琵琶湖文化館は、本日(4/2)より新年度の開始です。今年は桜前線も、3月後半からの急激な気温の上昇で、足早に駆け抜けているようですね。予定を早めて、この土日にお花見に行かれた方も多いのではないでしょうか?文化館の建つ打出浜の今日の様子は?ほら、こんな感じ!満開の桜に囲まれて、心地よい新年度のスタートです。

さて、まずはご報告。当館ホームページへのアクセス数ですが、3月は1,397件のご訪問を頂くことができました。アクセス数のほか、ユーザー数、ページビュー数、平均サイト滞在時間なども2月より増えましたよ。本格的な春となり、ユーザーのみなさまも活動開始!といったところでしょうか?嬉しいことです。ちなみに、平成29年度、1年間のアクセス数は16,409件、のべ9,642名の方にご訪問いただくことができました。みなさま、どうもありがとうございました!!

先月はまた、安土城考古博物館で開催いたしました「世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展」を18日に無事終えることができ、会期中には2,119名もの方にお越しいただくことができました。こちらの方も、足を運んでいただいた皆さま、どうもありがとうございました。

そうそう、3月末には文化財講座「打出のコヅチ」プレ講座(5月17日開催)のチラシも出来上がりました。さっそく県内の図書館・博物館等へも発送させていただきましたので、お見かけになったら、ぜひお手に取ってご覧くださいませ。もちろん、ただいま受講のお申込み受付中です!

それでは皆さま、今年度も琵琶湖文化館をどうぞよろしくお願いいたします。

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湖上にお城ができるまで

当館のホームページの「湖上にお城ができるまで-写真アーカイブ-」のコーナー、皆さん楽しんでいただけましたか?昭和35年4月の起工式から36年3月の開館を迎えるまでの文化館が建設されていく様子を、懐かしい写真でご紹介させていただきました。ホームページ上では約1年半をかけていきましたが、先日ようやく開館式までたどり着き、ここで一つの区切りを迎えることとなりました。

写真の更新には様々な苦労がありました。「この写真を紹介したいけれど、前に紹介したものと似ているな~」とか、「次の写真とつなげるにはどうしたらいいかしら?」など、建設の流れを、臨場感たっぷりに伝えるにはどうしたらいいか、たくさんの写真を前に試行錯誤の日々でした。現在、文化館の表通りの掲示板に開館式の様子をポスターで貼り出していますが、立ち止まって写真を見て行かれる方も多く「ここまで紹介できて良かったな~」と改めて思います。

実は、紹介しきれなかった所もたくさんありました。例えば開館当日の前庭は、整備が間に合わず更地のままの状態でステージをこしらえ、オープニングイベントを行っています。
その後に、約一年をかけて前庭は整備されましたが、その様子もちゃんと写真におさめられています。樹が植えられた時の写真や、700人もの人が休憩できるパラソル休憩所の写真、駐車場が整備さたれ写真など。。。 “湖上にお城”ができてからも、まだまだ琵琶湖文化館はつくられていたのです。

昭和40年代には、ブランコや滑り台、シーソーなどの遊具も設置され、娯楽施設があまりなかった時代に、文化館の前庭は安心して子どもたちを遊ばせることができる場所だったそうです。建物は約1年の工事でしたが、前庭を含めると、時間をかけて皆さんの楽しめる施設に整えられていったのだと、写真を整理していてしみじみと思いました。

機会があればまた、文化館開館後の懐かしい写真なども紹介出来ればと思っています。皆さま、お付き合い下さり、どうもありがとうございました!

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「打出のコヅチ」開催直前 プレ講座のお知らせ

毎年ご好評をいただいております滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」。おかげさまで、平成29年度に10周年を迎えることができました。そこで、これまで講座を支えてくださった皆様への感謝の気持ちを込めて!今年は特別に「打出のコヅチ」開催直前プレ講座(日時:5月17日(木)13:30~、会場:コラボしが21)を開催させていただくことになりました。講師は、コヅチでおなじみの、滋賀県教育委員会文化財保護課・井上優氏です!

井上氏には今回、「神社本殿から、木の経典を発見!‐東近江市松尾神社法華経‐」と題して、東近江市にある松尾神社で、平成26年(2014年)に発見された南北朝時代の「こけら経」についてお話していただきます。

仏教の経典(お経)は、紙に書かれているものが多いのですが、紙ではなく薄い板材に一行ずつ書写する「こけら経」というものもあります。松尾神社の「こけら経」は、神社の本殿から発見されたものとして全国唯一の事例となります。
この貴重な資料をもとに、神仏習合の信仰資料としての「こけら経」について、発見の経緯やその特徴および歴史的な意義などを含めて、いつものように、楽しい&詳しい&わかりやすい!と三拍子揃ったお話を聞かせていただけることと思います。

プレ講座のことが気になった方、講座内容・申込方法など詳しくはこちらをご覧くださいね。また、6月からの「打出のコヅチ」本講座の方も、ただいま申込受付中です。講座各回の内容についても、講座・イベント情報コーナー「打出のコヅチ」に詳しく掲載いたしましたので、ぜひご覧ください。プレ講座と本講座、併せてお申込み頂くこともできます。それでは、多くの方のご参加をお待ちしております。お申込みはどうぞお早めに!

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文化館に設置された足場

文化館は現在、本館と別館の3階部分が工事用の足場で覆われています。「何をしているの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実は屋根の軒先、外回廊の天井に開館当時からついている照明器具を撤去するための足場です。
「琵琶湖文化館の外側に照明なんてあったかしら?」と疑問に思われた方もいらっしゃるのでは?そんな方のためにご用意いたしました。昭和36年開館当初に撮影されたこの写真。ほら!ね。本館・別館ともに、3階に煌々と照明が灯っているでしょう?!この頃文化館では、夜になると屋上のトンボと共にこの外回廊にも灯りがついていました。ライトアップされ、夜の景色に浮かび上がる文化館はさながら不夜城のようだったと言われています。

この足場の設置には作業員さんの並々ならぬ苦労がありました。場所柄クレーン車なども使用できないため、3階までは重い資材を人力で運び上げなくてはなりません。それを4人の作業員さんが肩に資材を担ぎ、何度も階段を往復して運んで下さいました。「大変すぎて笑いが出る」との言葉も出るほどの重労働です。。。皆さん本当にお疲れ様でした!また撤去の時もよろしくお願いします(笑)。

この工事は約10日ほどで終わる予定です。高所での作業は大変ですが、期間中無事故で安全に作業を進めることができますように。。。

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県内で国宝!52年ぶり

先日、嬉しいニュースが飛び込んできましたね。国の文化審議会が9日、中世の村の自治組織「惣村(そうそん)」の掟(おきて)や相論などを記録した、長浜市西浅井町菅浦につたわる「菅浦文書(すがうらもんじょ)」と絵図を、国宝に指定するように答申しました。菅浦文書が重要文化財に指定されたのは昭和51年6月5日、それから42年の時を経てこのたび国宝へ。滋賀県での国宝の指定は、52年ぶりとなるそうです。

聞くところによると、この菅浦文書はこれまで800以上の学術論文で引用されたとのこと。当館でも、過去に開催した展覧会で、お借りしたことがあります。例えば、
昭和53年 近江文化史シリーズ 鎌倉時代の文化展
昭和56年 近江の名宝展
昭和58年 近江の歴史展
昭和63年 近江の古文書展

※写真は昭和58年頃の菅浦の風景

お気付きですか?展覧会のタイトルに全て「近江」と入っています。中世の庶民の暮らしを村人が書き残したこの菅浦文書は、まさしく私たちの「近江」を語る上で、欠くことのできない大変貴重な資料なのです。

滋賀で新たな国宝の誕生・・・この喜びを皆さんとともに!

筆:あきつ

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花よりおぼろに!唐崎の松

先日、ニュースにもなりましたが、先月28日に大津市にある唐崎神社で、昨年から急に衰え出した「唐崎の松」の横に、後継樹となる若木が植えられたとのこと。今の松は、明治21年(1888)頃に植え替えられた3代目なので、もう樹齢130年以上になるのですね。「唐崎の松」といえば、近江八景の一つ「唐崎夜雨」でもよく知られた景勝地。「近江八景」は、歌川広重の浮世絵で一躍有名になりましたが、他にも多くの画家が好んで描く画題となっています。当館の所蔵品にも「唐崎の松」を描いた作品がいくつかありますので、ここで少しご紹介しましょう。

まずは、幕末から明治に活躍した四条派の画家、長谷川玉峰による「近江八景図」です。唐崎の松は、遠くにありますが、画面のほぼ中央にこんもりと描かれているのがそれです。近江八景を一枚の絵に納める場合、琵琶湖を真ん中に置いて、その周りに八景を配置するのがよくある構図ではないかと思いますが、そうではないところに、画家の、この松への特別な思いが感じられます。

もう一つ、こちらは近江八景図ではありませんが、文政5年(1822)に日吉大社の祝部(神職)生源寺業蕃が描いた「日吉祭礼図」のなかにある「唐崎の松」です。唐崎の松には、大津宮遷都の翌年668年に、もと奈良にいた日吉大社の神がここに降り立ったという伝承があり、日吉大社とは深いゆかりのあるもの。この絵でも松がひときわ大きく立派に描かれているように見えるのは。。。気のせいですか?

いかがでしょうか?同じ唐崎の松でも、こうしてみるといろいろな描き方があって面白いですね。「唐崎の松と夜雨」は、平成22年度に「近江水の宝」にも選ばれています。これも滋賀の大事なお宝。今回植えられた若木も、これからまた数多くの絵に描かれるように(いや、今風に言うなら“インスタ映え”するようにですか?)立派に枝を張った大きな木となるよう、みんなで見守って行きたいですね。

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世界記憶遺産『 朝鮮通信使に関する記録 』登録記念展 にて!

昨日(4日)、世界記憶遺産『 朝鮮通信使に関する記録 』登録記念展が開催されている安土城考古博物館さんでは、関連講座「朝鮮通信使と近江」が行われ、85名の皆さまにご参加いただきました。朝鮮人街道の名が残り、近江八幡市の資料が登録されたこともあって、地元近隣の方々も多くご参加いただき、このような展覧会や講座を共催という立場ながら協力することが出来て、本当に良かったなと思います。また、講座終了後には、ギャラリートークも行われ、展示作品を見ながら1点1点について、詳しい解説がありました。

さて、ここで皆さんに質問です。会場をご覧いただいた方は、不思議に思われたかもしれませんが、今回展示されている作品は4点。その内「世界の記憶」に登録された資料は3点で、あとの1点は参考資料として、当館の館蔵品から雨森芳洲の書跡:七絶「性愛楊花云々」1幅が展示されています。それは何故でしょう??
雨森芳洲は、現長浜市高月町の出身と伝えられ、朝鮮外交を担っていた対馬藩において、その最前線に立って多くの功績を挙げた日本側のキーパーソンです。この度のユネスコ登録においては、長浜市芳洲会所有の「雨森芳洲関係資料」(重要文化財)が登録されています。ユネスコへの申請段階で、当館の書跡も候補に挙げていただいたのですが、全国の「朝鮮通信使関連資料」を精査するにあたり、どうしても「書」関係の資料が多くなるので、泣く泣く(?)申請を取り下げたという裏話があります。
とは言え、このキーパーソンが対馬にいた時に書いた「書」ですので、今回「参考資料」として特別に出陳していただくことになりました。

「七絶」は、七言絶句:漢詩の詩体のひとつで、書かれている文字を現在の読みやすい字に直すと、
性愛楊花度筬春蒼顔白髪/海西浜高僧此去人相問為/説柴桑今有人
芳洲 八十五歳書
となります。
性(生まれもって)、楊花(ネコヤナギの花)を愛して幾春を度(わた)る・・・
漢詩なので読み下しが難しいところですが、「対馬での暮らしも長くなったが (決して嫌々住んでいるのではなく、むしろ詩人・陶淵明のような心境で、喜んで対馬に住んでいるよ)、もし人に尋ねられたら元気にしていると伝えてほしい」というような内容が書かれています。

この書は、会場で登録認定作品の近江八幡市指定文化財「李邦彦(イ・バンオン)詩書」と並んで展示されていますが、両方ともよく似た字体で、全体の雰囲気が同じように感じられます。「きっとこの時代のアジア地域でお手本となる書がこのような感じで、国際的教養人が理想とした書風だったのでしょうね」というまとめを経て、ギャラリートークは無事終了いたしました。皆さんも会場で是非見比べてみてくださいね。(登録記念展は3月18日(日)までの開催です。)

筆:あきつ

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ホームページ2月のアクセス数

冬季オリンピックで盛り上がった2月。韓国・平昌はもちろん、日本列島も寒さの厳しい2月でしたが、フィギュアスケート、カーリングなど、どの種目でも、そしてどの選手も、本当に力を出し切って「自分に勝つ」試合を見せてくれたので、TVで見ているこちらも思わず熱い涙がこぼれ出てくるような毎日でした。選手のみなさんお疲れ様、ありがとう!
そして、そんな熱気が当館にも届いたのでしょうか?2月のホームページアクセス数は、1,249件でした。また、ユーザー数で見ると、日本に続き、第2位に韓国からのご訪問が多く、ここにも日韓交流(?)があったようです。カムサハムニダ~(ありがとう~)。

ところで話は変わりますが、皆さん、覚えておいででしょうか。以前、滋賀県教育委員会の文化財保護課さんが、「文化財かるた」『読み句』を募集していらっしゃいましたね。その結果が2月に発表され、3,057句の応募の中から、「あ」~「わ」の頭文字44文字の「読み句」が決定したそうです。郷土愛に溢れ、滋賀の文化財を誇りに思う『名句』の数々が、滋賀県のホームページで公開中です。これがまたかなりの力作揃い!読み句からは、情景が鮮やかに思い浮かぶもの、知らずにいた郷土自慢、興味深い地元ネタなど、読んでいると思わず顔がほころぶ作品ばかりです。
そして見つけましたヨ・・・読み句を考えられた作者の中に、元:琵琶湖文化館友の会会員の方のお名前を!さすが文化財に心を寄せるウチの会員さんです(でした)!なんだかすごく嬉しいなぁ~!!
また、とても気になる句も。。。それは「つ」の頭文字で始まっていました。現在、安土城考古博物館で開催されている特別陳列 世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展。当館からも朝鮮通信使の行列を描いた「琵琶湖図」が出陳されていることは、当ブログでも紹介済みですが、「つ」始まりのこの句に、ついつい目が引き寄せられてしまいました(笑)。なるほど名句です!

この「文化財かるた」は、現在安土城考古博物館のエントランスホールにて展示・公開(~4月8日まで)されています!特別陳列も同博物館で開催中(~3月18日まで)です!3月4日(日)には関連博物館講座「朝鮮通信使と近江」とギャラリートークが行われます!
これはもう行くしかない!?!!

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平成30年度 滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」受付開始!

今年もやります!「。。。ん、何?」って~、ほら!もちろん、あの、滋賀の文化財講座「打出のコヅチ」ですよ。
大津市打出浜から繰り出す「打出のコヅチ」の一振りが、無尽蔵ともいうべき滋賀の宝を魅力的に紹介する文化財講座「打出のコヅチ」。おかげさまで、この講座も平成29年度に10周年を迎え、これまでに4,300名を超える方々にご参加いただくことができました!
平成30年度は11年目の新たなスタートとして、さらに幅広くパワーアップした内容でお届けします。

第1回の6月21日(木)を皮切りに、5回の座学に加えて、皆さまからのリクエストにお応えして、秋には現地探訪講座(彦根城周辺)も開催することになりました。どの回も、専門の講師の先生方から、滋賀の文化財の魅力について、わかりやすく丁寧な解説を、じっくりと聞かせていただけますので、はじめての方も、そうでない方も、どうぞ奮ってご参加下さいませ!講座の日程・内容・申し込み方法などは講座・イベント情報をご覧くださいね。

では皆さん、忘れないうちにスケジュール帳にもしっかりと予定を書き込んでおいて下さいね!会場でみなさまとお会いできることを、スタッフ一同楽しみにしております。

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安土城考古博物館で明日から開催!

いよいよ明日(2/24)から、特別陳列「世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展」が始まります!会場は滋賀県立安土城考古博物館での開催です。
展覧会の開催に併せて、当館のホームページの特設展覧会情報も更新させていただきました。ご覧になっていただけましたか?
この展覧会には、昨年10月31日にユネスコ「世界の記憶(世界記憶遺産)」に『朝鮮通信使に関する記録』が決定されて以降、朝鮮通信使の行列が描かれた当館の館蔵品「琵琶湖図」が初めて出陳されます。県立である当館の館蔵品=滋賀県所有の文化財=県民皆さんの宝です。朝鮮通信使とご縁があったこの滋賀県で、ユネスコ登録を記念する特別陳列。私たちが住む地域のこと、文化財のことを知る機会として、是非皆さま会場へ足をお運び下さいませ。

「琵琶湖図が気になる」「安土城考古博物館へ見に行ってみようかな」と思っていただいた方に、せっかくですのでちょっと気になる「小ネタ」を紹介しましょう。
県道2号大津能登川長浜線の日野川辺り、野洲市と近江八幡市を結ぶ仁保(にぼ)橋の欄干には、朝鮮人街道の歴史を伝える解説と「琵琶湖図(滋賀県立琵琶湖文化館)」「朝鮮通信使行列絵巻(佐賀県立名護屋城博物館)」のパネルが設置されています。車で通り過ぎると「アッ!」という間なので、気付きにくいかもしれませんが、ゆったりと橋を歩いて渡ると、川風が心地よく、思わず立ち止まって解説をじっくり読みたくなること請け合いです。朝鮮人街道には、ゆかりの道標(石碑)も多く残っているようですから、江戸時代の通信使たちに思いを馳せて、歴史散策を楽しまれるのもオススメです。
展覧会への行きがてら帰りがてら、是非チェックしてみて下さいね。

筆:あきつ

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雪景色から春を告げる

今年の冬は寒波が何度も押し寄せて、北陸では記録的な積雪、また東京では雪による交通網の混乱と、日本列島は雪に悩まされています。雪も、適度に降れば素敵な景色を見せてくれますが、なにしろ相手は自然です。なかなか思うようにはいきません。

ですが、ココは文化館。絵画作品の中なら素敵な雪景色が見られる。。。!ということでご紹介しましょう。館蔵品「寒華倣雪図」を。これは山本梅逸(1783~1856)が描いた作品で、竹や梅、水仙など数種類の植物に雪がうっすらと積もる、まさに素敵な雪景色!の絵です。この作品には、「春を告げる花」が描かれていますが皆さま、どこだかわかります?

花のことに詳しくない私は、どうしても画面中央の椿と南天の赤色に目がいって、なかなか気づきませんでした。。。画面下の方に視線を持っていくと、地面で咲く黄色い花がちょこんと見えませんか?全体像ではわかりづらいかもしれないので、スポットをあててみますね。

ほらこの通り、咲いているでしょう?!この黄色い花は、福寿草と言って、別名を「元日草」「朔日草」とも言うそうです。その名前には「新春を祝う」という意味もあるらしく、早春に縁のある植物なのです。福寿草が描かれることで、まもなく来る春の訪れを感じる事ができます。ちなみに、福寿草の見ごろを調べてみると、なんと2月~3月となっています。「今頃、新春を祝う花!?」と思ってしまいますが、ココは暦み上、旧暦と新暦とで感じ方がズレるのですね。本日、2月19日は旧暦では1月4日。この作品を愛でるのにピッタリの季節なのです。

折しも今日は、二十四節気の「雨水(うすい)」。空から降るものが雪から雨に変わり、氷が融けて水になる…春の先駆けです。まだまだ寒い日が続きますが、春は一歩一歩近づいている。。。のですね!文化館の絵画の中にある雪景色から告げられた春に、季節の移り変わりをほんの少し感じました。

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研究紀要 本日入稿!

2月16日(金)、今日という日はおめでたい。。。本日17:00、無事、今年度の「研究紀要」原稿を入稿、データを印刷業者さんに手渡しました!例年より仕上がりが遅れてしまい、どうなることかとハラハラした原稿作成でしたが、何とか年度内に発行出来る見込みとなりました。

この時期、どこの博物館さんも、春の展覧会準備や紀要・年報の発行準備に追われておられることと思います。毎年、そうならないように・・・締切ギリギリにならないようにと、悔い改めているハズなのですが、なかなかうまくいかないのが人のサガでございます。同業他館さま、ご苦労のほど、心中お察しします。。。(笑)。

無事入稿を終えただけでは・・・まだまだこれから、納品されるまでは印刷業者さんと怒涛のやり取りが繰り広げられるわけですが、今は仕上がりを楽しみに、ホッと一息つかせていただきます。。。

筆:あきつ

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チョコと博物館

先日、滋賀県博物館協議会(県内の博物館施設:美術館・資料館なども含む)が開催する第2回情報交換会「スマートフォン時代の博物館・美術館の新たな広報戦略について」という研修会に参加してきました。

スマートフォン時代・・・当館の広報戦略としても、とても気になるところ・・・今回お話し下さった講師は、福井市教育委員会文化財保護課にお勤めの藤川氏です。以前福井市立郷土歴史博物館の学芸員として勤務されていたこともあり、その時の様々な「広報戦略」について、大変興味深いお話をうかがうことが出来ました。福井市立郷土歴史博物館と聞いて、思い当たるのは・・・アレですよ、アレ。その名も「三角縁神獣鏡チョコ」!藤川氏はその仕掛人となる方です。ご存知ない?古墳から多く発見される神獣鏡は、青銅製で鋳型に流し込んで作られていますが、福井市博さんのワークショップでは、なんとシリコーンプレートにチョコレートを流し込んで直径約20cm(原寸大)のチョコのレプリカを作る鋳造体験?が人気となっています。その完成度の高さからTwitterなどでも話題となりました。皆さん楽しい事って大好きですものね。しかも今どきで言う「インスタ映え」するレアな体験です。人に言いたくなりますよね~。
・・・ふっふっふっ。実施する館にとっては既にそれが広報戦略。
・・・たくさんの人に情報が広がります。

今の時代、何よりの広報戦略として「口コミ」に勝るものはない。。。スマートフォン時代の新たな戦略として、facebookやTwitterを活用するなどの事例も紹介され、参加していた方からは、「SNSで発信する時に内容の決裁はとるのか」「即時性は?」「何人で更新しているのか」「問題点は?」など、具体的な運用に向けての質問が寄せられるなど、全体的に熱気あふれる情報交換会となりました。

『実験考古学系スイーツ僧侶(おうちはお寺さん)』を自称する藤川氏は、冒頭で、「遊び心があっていい」と言っておられました。「自分がやって楽しいと思う事を多くの人に広めたい」と。知的好奇心や興味・新たな発見を多くの人に広める場である博物館が出来ることは、まだまだありそうです。いいお話に刺激を受けて、何か新しいアイデアはないかと、頭を悩ます帰り道でありました。
・・・違う!五感を楽しい方向に導く努力をあきらめない、と気持ちを新たにした帰り道となりました・・・マル〇。

筆:あきつ

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収蔵品掲載情報:近江の平成雲根志

琵琶湖文化館の収蔵品を点数別でみると、書跡・典籍・古文書といった書の類がもっとも多くなっています。その中には、経典や教義書といった信仰に関わるものはもとより、近江の歴史や文化に関する書物も多く含まれています。
今回『近江の平成雲根志』(著者:福井龍幸氏/企画:琵琶湖博物館/発行:サンライズ出版)という本が出版され、その中で当館所蔵の『雲根志』が掲載・引用されていますので、ご紹介いたします。
『雲根志』とは、近江出身の博物学者で「石の長者」といわれた奇石収集家の木内石亭(1725~1808)が著した代表的な書物です。当館ではこの『雲根志』 の版本を収蔵しています。本書では、霊異類、光彩類、寵愛類など独自の分類(3編15項目)によって、膨大な数の「石」が挿絵とともに、紹介されています。
その功績は近代以降においても各方面の学者に大きな影響を与えており、鉱物学者・益富壽之助氏(1901~1993)などが、石亭に関する事柄や国内外の奇石を紹介した『石 ― 昭和雲根志』(1967年)という書物を発刊しています。
今回は「平成雲根志」ということで、本著作の中では「雲根志的世界の石」という章を設けて、オリジナル『雲根志』にて取り上げられた奇石があらためて紹介されています。それに加えて、まさに石亭のイシ(意志or石?)を継承しつつ、著者自らが収集した奇石も紹介されています。時代を越えた奇石コレクターの熱意を感じる著作です。是非、手に取ってみてはいかがでしょうか。

学芸員W

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ホームページ1月のアクセス数

日本列島では、相変わらず極寒の日々が続いています。インフルエンザも大流行りのようですが・・・、みなさま、元気にお過ごしでしょうか?昨夜は3年ぶりの皆既月食がありました。夜の屋外はとっても寒かったですが、ご覧になられましたか?スーパームーンにブルームーン、そしてブラッドムーンという豪華共演。あの大きなお月様が、どうやって欠けていくのか、ドキドキしましたよね。特に、ブルームーンには、見る人の願いを叶えてくれる不思議な力があるそうですが・・・?

ということで、もしかしたら昨日の願い事が叶ったのかも知れません。今朝、一番に確認しましたところ、1月のホームページへのアクセス数は、なんと1,476件と、前月より大幅の増加となっておりました!そして、平均サイト滞在時間もずいぶんと伸び、ますますじっくりとご覧いただいているご様子!!本当に嬉しく思います。みなさま、どうもありがとうございます。

また、このようにアクセス数が増えている証拠でしょうか?この頃とみに、「ホームページ見ましたよ!」「ブログに書いてましたよね?」などのお声掛けが増えたような。。。なぜかな~と思うと、なんと!先月、フェイスブックなどSNS上で、「あきつブログ」のことが、少しですが話題に上っていたようです。きっと、そのお陰もあったのでしょうね。取り上げて下さった方、どうもありがとうございました。最近は広がっていますからね~SNS。これをきっかけに、文化館ホームページやあきつブログのこと、さらに多くの方に知っていただけたなら、とっても嬉しいことです。

いよいよ2月に入りました。明後日の節分を過ぎると、暦の上ではもう春です。皆さまのところへもたくさんの「福」が来ますように!!

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OK!バブリーの残したモノ

開館から57年を経て、さまざまなモノが蓄積されている琵琶湖文化館。館内で片づけなどをしておりますと、時々ビックリするもモノが現れます。といっても、今回現れたモノは文化財などの収蔵品ではありません。とある部屋に置き去りにされていた段ボール箱。機材か何かを運び入れた時に使ったのでしょうか?中を開けると、そこに現れたのは・・・、古新聞とともに緩衝材にしていた、ある婦人雑誌の平成4年(1992)正月号でした!

平成4年(1992)1月というと、今からちょうど26年前、バブルの絶頂期の余韻がまだまだ残るころです。で、その雑誌ですが、お正月号なので表紙を飾る日本髪を結った和服姿の女優さんや、豪華なおせち料理の特集は、まあ納得できますが・・・、小特集の「ともかく5000万円ためる法」や、厚い肩パットの入ったきらびやかなスーツやドレスを着て、髪をソバージュにしたモデルさんによる「フォーマルウェアの着こなしとマナー」などなど・・・、なんともバブリー!!この時代をリアルタイムに知る世代としては、懐かしいを通り越して、ちょっと気恥ずかしい・・・デス。これ、若い世代には、まさに“ぶっ飛びー!”に、“おったまげ~”なんでしょうね。

世間ではこのところ、大阪の高校生たちが荻野目洋子さんのヒット曲「ダンシング・ヒーロー」に乗せて踊る、バブリーダンスなるものが話題となっているようです。これがまた、当時の雰囲気をよく捉えていてなかなかのもの。聞くところによると、衣装などは、彼女たちのお母様が大事に残していたものなどを借りてのことだそう。なるほどね!きっと、今の高校生の親御さんがバブル世代で、いろいろな思い出がたっぷり詰まっていて、手放せなかったのでしょう。そこに今度は、娘さんたちの青春の証があらたに詰まっていって。。。ああ、モノってきっと、お金をかけたってことではなく、思い出がいっぱい詰まってこそ、次の世代に伝えられていくのね~と、しみじみ。

同じことは、文化財にも言えるのかも?先人の思い、そして歴史の重みがあってこその文化財。でも、その思いが過去の人だけのものではなく、今の私たちの思いともしっかりと重なってこそ、伝わり残されていくのでは?そして、地域の中でモノが伝わっていく過程で、博物館という場にお手伝いできることは、まだまだたくさんあるのではないかと。。。冬眠から覚めたように躍り出てきたバブリーなモノを目の当たりにして、そんなことを感じた次第でございます。。。

 さあ!それでは最後に、我らが文化館のキャッスル・ヒーロー:あきつ君による「ダンシング・ヒーロー(あきつVer.)」をお届けしましょう!一緒に踊ってみてね~♪

赤いしっぽの さみしがり屋なの 
くるくるライトの 素敵な瞳
(間奏)
今夜だけでも トンデレラ・ボーイ
Doいうお名前かな
輝く羽で 踊って 君の名はあきつ
ちょっときどった ツンデレラ・ボーイ
Doいうお名前かな
湖岸チックに まわって 君の名はあきつ

←屋上の大トンボが光って回っていた頃の写真(昭和36年4月撮影)

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文化財防火デー

今日は『文化財防火デー』です。これは、昭和24年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺(奈良県)の金堂が炎上し、壁画が焼損したことに基づいて昭和30年に制定されました。以来、毎年この日を中心に、文化財を火災、震災その他の災害から守るとともに、全国的に文化財防火運動を展開し、文化財愛護に関する意識の啓発が図られています。
当館の別館は八角形の形をしているため、法隆寺の「夢殿」とも浅からぬご縁を感じて(勝手にそう思って)おり、文化財を守る当館においても、一層の緊張感を持って消防設備のチェックなどを行っています。

昨日の写真アーカイブでは、当館の「鴟尾(しび)」を紹介しました。「鴟」は鳥のトビのことで、鴟尾には火除けや魔除けのまじないの意味があると言われています。トビの尾であるとか魚の尾であるとか、これには諸説あるようですが、いずれにしても建物を守りたいとの思いが込められているのです。もちろん当館の鴟尾にも・・。

最初僕は「鴟尾」をイメージだけで「鳩尾(はとお・きゅうび)」と勘違いしていました。調べてみると「鳩尾」とは「みぞおち」と紹介されています。・・・頭の中は???だらけ・・・
屋根に「みぞおち」が設置されているワケがない!!
と、改めて他の職員さんに聞いてしまった・・・というのは、恥ずかしい笑い話。。。一字違いでエライ違いです。皆さんお気を付けて。。。

鴟尾は、宮殿や寺院などの大建築の大屋根に設置されていることが多いとか。奈良の東大寺や唐招提寺金色堂の鴟尾が有名ですね。・・・ん?寺院?・・・当館の鴟尾がのっている本館は、難攻不落の「お城」の形をしているのです・・・が?。

夢殿、鴟尾、お城・・・昭和36年当時、当館の建設に関わった人たちが、様々な「夢」と「願い」をこの建物に託していたことは間違いありません。滋賀の文化財を守って行くために。

文化財防火デーをきっかけに、文化館にまつわるエトセトラに思いを馳せ、気を引き締める一日となりました。

筆:あきつ

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