カテゴリー別アーカイブ: 展覧会

「びわ湖大津・光秀大博覧会」と文化館の「淡海温故録」リターンズ

今年の大河ドラマ「麒麟がくる」でも注目される明智光秀。ドラマの中でいつ滋賀がでてくるのかとヤキモキしながら見ていたところ、新型コロナの影響で、一旦放送が休止になってしまいました。こればっかりは仕方ない。続きを楽しみに待つことといたしましょう~。

「放送がなくて寂しいわ」という方は、ちょこっとお出かけしてみませんか?大津市内4会場で開催される「びわ湖大津・光秀大博覧会」。新型コロナの影響で臨時休館となっていましたが、そのメイン会場となる「禅明坊光秀館(西教寺内)」が5日に再開されました。

光秀館といえば、皆さん覚えていらっしゃるでしょうか?4月に1週間だけ、当館の「淡海温故録」を出陳させていただきました。明智光秀が近江(多賀町佐目)出身との記述がある、あの温故録です。
前回、新型コロナの影響で展示期間が短くなってしまっていたこともあり・・・実は、この度、リターンズ決定・・・12日から7月13日まで再び同館で展示していただくこととなりました!今回は長めとはいえ、約1カ月の期間です。5月に某テレビ局の「所ジャパ〇」という番組で、明智光秀の近江出身伝説が取り上げられ、それを見てわざわざお問い合せをいただいた関東の方!出陳されますよ!詳しくは専用ホームページでチェックしてくださいね。

きっかけは何であれ、滋賀に興味を持っていただけるというのは嬉しいこと。資料をじっくり眺めて戦国時代にタイムスリップした後は、ゆったり琵琶湖を眺めて心癒される時間を持つというのもおススメです。いろんな楽しみ方を滋賀で見つけてください。

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待ち遠しいコロナ明け

新型コロナウイルス感染症という、見えない敵と戦って早2か月余り・・・。緊急事態宣言が解除され、少しずつ世の中が動き出してきました。とはいえ油断せず、緩むことなく、今までの生活スタイルを見つめ直して、対策を続けることも忘れてはなりませんね。
この間、さまざまなモノが「中止」「停止」しておりましたが、徐々に復活の兆しが見え始めております。

この春に開催予定であった展覧会。「収蔵品公開情報」では、当館の収蔵品が出品される(貸し出されている)展覧会の開催情報をお知らせしていましたが、4月半ばには軒並み「開催未定」や「中止」「臨時休館」の表記となりました。寂しいこととはいえ、これは仕方がない、世の中みんながそうなのだから仕方がない…と半分あきらめておりましたが、5月中頃から各会場館さんから連絡が・・・。来るべき「コロナ明け」に向けて、「会期変更」を申し出てくださる館が増えてきたのです~。
年間スケジュールの変更もあるでしょうし、当館だけではなく、作品をお借りする相手先さまとの調整もあるでしょう。なにより館の再開に向けての準備に、気を使っていただくことも多いはず。今まで体験したことがない事態に直面したとはいえ、長い期間をかけて準備されてきた展覧会。簡単に諦めてなるものかという、各担当さまの熱い思いが「コロナ明け」の世の中を動かします。

具体的な日程の変更は、後日徐々に明きらかになるものとして、みなさん、もう少しです。当たり前が当たり前ではなかった日常に感謝しつつ、この2カ月我慢してきたからこそ味わえる楽しみを味わいたい。今はなんだかいろんなものに感動したい!気持ちでいっぱいです!みなさん、もう少しです!徐々にテンション上げていきましょう!

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「びわ湖大津・光秀大博覧会」と文化館の「淡海温故録」

今年の大河ドラマの主人公として注目される明智光秀。滋賀県では、光秀とゆかりの深い大津市を中心に、様々な盛り上がりを見せていますよ!
中でも「びわ湖大津・光秀大博覧会」は、明智光秀にかかわる展示を4会場(禅明坊光秀館・西教寺・滋賀院門跡・大津市歴史博物館)で開催しています。

ここで特に注目していただきたいのが、メイン会場となっている禅明坊(ぜんみょうぼう)光秀館!西教寺内にある里坊のひとつです。新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当初3月8日からの開館予定が延期となっていましたが、満を持して4月1日からオープンしました!ヨッ!待ってました!!

こちらの会場には、当館所蔵の「淡海温故録(おうみおんころく)」が出品されています。文化館ファンの皆さんならもう耳馴染?ですね?そうです、当ブログでも、文化財講座でも、近年、機会あるごとに、ご紹介してきたこの淡海温故録。明智光秀が、近江国犬上郡佐目(現:多賀町佐目)の出身であると記述される歴史資料が、いよいよその“本丸”にて、展示公開されます。但し、今回「淡海温故録」は4月7日(火)までの公開となっていますので、この機会にご覧くださいね。
同会場では、古文書や絵図、光秀の武具などをはじめ、戦国時代のびわ湖と光秀の足跡を紹介するコーナーなどもあります。また、大河ドラマの映像や衣装小道具なども展示される:びわ湖大津「麒麟がくる」展も、同時開催されていますので、思う存分に楽しめますね。とても雰囲気のある会場です。滋賀でこの歴史ロマンを是非ご堪能ください。

情報提供をもう一つ。3月まで放送されていたNHK連続テレビ小説「スカーレット」。ヒロインの生きる力、そのたくましさに感動の涙を流した人も多かったのでは?ドラマでは滋賀県甲賀市信楽で作られる信楽焼にも注目が集まりましたが、その信楽焼で作った明智家の家紋「水色桔梗ピンバッチ」が、絶賛発売中です。こちら品切れになるほどの人気商品となっているよう?!デス。こちらの裏書にもご注目!
明智光秀生誕の地?
多賀町佐目(さめ)には地元で「十兵衛屋敷跡」と呼ばれてきた場所があります。
と書かれています。とうとう市民権を得た?!明智光秀近江出身説デス。。。

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この時季「花粉知らず」で、ヒノキを学ぶ

最近・・・飛んでますよね・・・困ったことに。。。そう、毎年この時季になるとスギやヒノキの花粉が飛散し、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目の充血といった症状に、苦しんでおられる方もいらっしゃるのでは?今日は、そんな方におススメの「花粉知らず」な話題です。

こちらに、当館オススメの『ヒノキ』があります。勘が良い人はもうお気付きですね?「安土・桃山時代の近江展」に出品された檜(ヒノキ)図です。本来であれば開催期間中ですので、会場で花粉を気にせず(!)、皆さんにご鑑賞いただいているところなのですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、会場の安土城考古博物館さんでも臨時休館となっており、今しばらくご覧いただくことが出来ません。
ということで、ここはじっくりと、皆さんにはお家で、お勉強をしていだきましょう~。
檜図は、湖北(現:長浜市)に生まれ、狩野永徳や長谷川等伯らとともに名前を連ねる、安土桃山時代の巨匠:海北友松(かいほう・ゆうしょう)が描いた作品です。シンプルな画面構成がカッコイイ!
この屏風については、制作年代が定かではありませんが、署名の書体は、慶長7年(1602)に制作されたことが明らかな作品と近似しており、現存する友松の金碧画中、最も早い時期に位置づけられ、注目される作品です。さて、どこが友松らしいかと言いますと・・・。

などなど、友松独特の手法に注目すると、作品をより楽しむことが出来ると思います(詳しくはコチラ)。

さて、檜図の展示作業を見ていたところ、華やかな金碧屏風がまたたく間に展開していく様子が、なんともステキだったので、屏風の展示方法とともにご紹介します。
まず屏風の中央を広げて安定させ、それから左右を順に広げていきます。

最後に角度や間隔を調整して、屏風の展示の完成です。会場では幅広に見えますが、折りたたむと6分の1!と小さくなるのですね~。

これを見て、お家にある屏風を久々に広げてみようかな、と思った人は・・・ぜひ影響されてください(笑)。

「パッと見るとスギかヒノキかわからない!」という方は、葉っぱにご注目。スギは先が尖ってイガイガなのに対し、ヒノキの葉は平たく広がっている感じです。この豆知識も、是非知っておいていただきたい!!友松が描いたのは間違いなくヒノキ・・・なのですヨ。
なかなかご覧いただく機会の少ない作品ですからね。新型コロナウィルスが早く終息することを願わずにはいられません!!展覧会が無事再開できますように!
※3月25日より再開決定

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企画展関連講座「桃山時代の工芸品」開催しました

8日から開催しております地域連携企画展「安土・桃山時代の近江展 琵琶湖文化館収蔵品を中心に」は、皆さまもうご覧いただけましたでしょうか?会場である安土城考古博物館では、23日(日・祝)に企画展関連博物館講座の第2回目が開催されました。参加者は28名とやや少なめとなりましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症の広がりのなか、これは致し方ないこと。講座の開催すらも危ぶまれた中、感染症対策に万全を尽くして会場をご準備下さった、安土城考古博物館の方々、ならびにご参加いただいた皆さまに、厚く御礼申し上げます。

さて、博物館講座ですが、今回は「桃山時代の工芸品-城郭の漆装飾と高台寺蒔絵-」と題して、この企画展の文化館側の担当者でもあります古川史隆(滋賀県教育委員会文化財保護課・滋賀県立琵琶湖文化館)が講師を務めました。安土・桃山時代の優品を集めた今回の展示のなかでも、特に贅を尽くして作られたと感じさせるのは、蒔絵を施した工芸品でしょうか?講座では、工芸品のなかでも特に蒔絵の作品に焦点をあて、「高台寺蒔絵」と称される桃山文化を代表する作品と、関連する近江に伝わる数々の遺品について、詳しく解説していただきました。

なかでも特に驚かされたのは、今回の出陳作品である草津市・観音寺(芦浦観音寺)さまご所蔵の「秋草蒔絵湯桶」が、秀吉と北政所(ねね)ゆかりの京都・高台寺に伝わる湯桶と瓜二つであるということ!!「平蒔絵」「絵梨子地」という安土・桃山時代の蒔絵に流行した技法に、菊・薄(すすき)・萩といった武将好みの(というか、これはもう「秀吉好み」なんでしょうね!)斬新で明快な意匠を施した、典型的な「高台寺蒔絵」の湯桶。(きっと特注品なんでしょう。。。)そんな湯桶が、秀吉との関わりも深かった観音寺に伝えられているなんて。。。これが、作品として素晴らしいだけでなく、「歴史の証人」でもあるということに、さらなる感動を覚えた次第であります。

講座終了後には、多くの方が「(作品を)もう一度見たい!」と思われたようで、参加者の足はそのまま展示室へと向かい。。。蒔絵の展示コーナーの前で控えていて下さった講師の古川さんは、熱心な方々からの質問攻めに遭われておられましたよ!!いやぁ、本当に「為になる」「役に立つ」講座でした。皆さまも、展覧会にこのような関連講座や展示解説などがあるときは、ぜひ参加してみて下さいね。展覧会がもっともっと楽しめること間違いなしデス!!

なお、今回の講座については、ZTVコミュニティチャンネルの「おうみ!かわら版」2月24日号(放送は2月24日・25日・26日)で紹介されます。コチラの方もぜひチェックお願いしますね~!!

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「安土・桃山時代の近江展」関連講座のお知らせ

現在、安土城考古博物館で開催中の地域連携企画展「安土・桃山時代の近江展-琵琶湖文化館収蔵品を中心に」では、23日(日・祝)に関連講座を開催します!
今回の講座は、本展の企画・担当:古川副主幹(琵琶湖文化館・滋賀県教育委員会文化財保護課)が、「桃山時代の工芸品」と題してお話しをさせていただきます。長い戦乱から天下統一へ、世の中が大きく変化する中、人々は何を求めたのでしょうか。それは華やかで絢爛たる美の世界なのか、それとも静謐で厳かな世界なのか。絵画や工芸品などの美術工芸品に映し出された「時代」を読み解いていく作業は、とても奥深く、また楽しみ甲斐がありますよ~。この講座を聞けば、モノの見方がこれまでとはすっかり変わるかも?!皆さま是非ご参加下さい!

会場:安土城考古博物館NPSセミナールーム
(滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678)
時間:午後1時30分~3時(受付は午後1時~)
定員: 140名(当日先着順) 参加費:200円

なお、安土城考古博物館では、通常、イメージキャラクター:まめのぶ君による解説パネルが好評で人気となっているところ、本展では特別に「あきつ君」バージョンを採用していただいております。これも”連携”企画展のおかげ!安土博さんのご厚意に感謝しつつ、会場では「おしえて あきつくん!」の解説にも注目していただければ幸いです。

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「安土・桃山時代の近江展」開幕しました!

湖国に降った雪がうっすら残る2月8日(土)、企画展「安土・桃山時代の近江展-琵琶湖文化館収蔵品を中心に」が、安土城考古博物館で始まりました!当日のオープニングセレモニーでは、公益財団法人滋賀県文化財保護協会 北川理事長よりご挨拶をいただき、安土城考古博物館の辻井館長、当館の澤本館長とともに、テープカットで華々しく開幕を宣言させていただきました!

この日は、地元観光ボランティアで活躍されているガイドの方々もたくさん駆けつけてくださり、本展を担当する古川副主幹の作品解説に、熱心に耳を傾けておられました。今注目の、戦国武将直筆の文書なども公開されていますからね。湖国を観光で訪れる方々にも、是非本展の見どころを”オススメ”してくださいね!!


本展は4月5日までの開催です。期間中”気になる”講座も実施されますヨ。

2月16日(日)
「近江の明智光秀文書および安土宗論について」
2月23日(日・祝)
「桃山時代の工芸品」

会場はいずれも安土城考古博物館NPSセミナールームで、定員140名(当日先着順)となっています。詳しくは、安土城考古博物館(TEL:0748-46-2424)までお問い合わせください。多数のご参加をお待ち致しております!

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地域連携企画展第3弾・開催まであと4日!!

いよいよ佳境に入ってまいりました。8日(土)から安土城考古博物館にて始まる「安土・桃山時代の近江展 琵琶湖文化館収蔵品を中心に」の準備です!!この展示会は、休館中の琵琶湖文化館が収蔵・保管する文化財を、県内各地の博物館施設と連携して積極的に公開していこうという「琵琶湖文化館地域連携企画展」の一環として行うもので、甲賀市土山歴史民俗資料館さん、愛荘町立歴史文化博物館さんとの連携に続いて、今年度の第3弾となります。展示会の企画・構想に始まり、思い起こせば長い道のりでしたが、よくぞここまで辿り着いたものです。(と、胸を撫で下ろすのはまだちょっと早い?)

ということで、今週の文化館は展示会ウィークとなり、出陳作品の点検・梱包・搬出作業が始まっています。今回の展示会には、館蔵品・寄託品、合わせて24点の作品を文化館から出陳しますが、いつものように、作品はいきなり梱包して運び出すのではなく、収蔵庫から一度出したところで、会場館の安土城考古博物館の学芸員さんと共に念入りなチェックを行います。

たとえば、今回出陳される信楽焼の壺。表面や中にライトを当ててみたり、持ち上げたり、ひっくり返したりと、まさに”舐めるように”といった感じでの点検が行われ、特記事項があれば調書に記録されます。そして、もしも傷んでいたり、弱っているところがあれば(陶器などはヒビ割れや欠けなどが要注意)、運送中や展示中に傷みがひどくなることが絶対にないように、その部分を手厚く保護する形で、梱包材で丁寧に包んでいきます。箱に詰められ、梱包作業がすべて終わると、美術品専用のトラックに載せられて出発で~す!

ところで、今回の展示会のタイトルにもある「安土・桃山時代」について、皆さんはどんなイメージをお持ちですか? ごく簡単に言うと「信長から秀吉の時代」にあたるこの頃。天下統一の気運のもと、豪壮・華麗なる文化が花開き…といった感じでしょうか?今回出陳される文化館の収蔵品も、もちろんそんな時代の産物です。それが、時代の象徴でもある「安土城」のお膝元の博物館で展示されるわけですから、作品たちからはここぞとばかりの”異彩”が放たれるに違いありません。
展示会は、2月8日(土)から4月5日(日)までの開催です!皆さま、どうぞご期待下さい。

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「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展 開催御礼

終わってみれば1ヶ月半があっという間でした・・・。11月1日から始まった地域連携企画展「湖東三山 金剛輪寺の名宝-滋賀県立琵琶湖文化館寄託品里帰り特別公開-」が15日で終了。会期中8千人を超える(!)多くの方々が会場を訪れ、紅葉を彩る金剛輪寺さまの寺宝の数々をご覧いただくことができました。本当に有り難うございました。

この地域連携企画展、本年度においては県内3地域において、当該地域とゆかりのある琵琶湖文化館の収蔵品を中心に、各地の博物館・資料館と連携して開催し、休館中である当館の収蔵品を多くの方々にご覧いただこうという趣旨で実施しております。その第2弾であった本展は、愛荘町立歴史文化博物館さんとの連携でした。紅葉のベストシーズンに本展を企画していただき、両館に寄託されている作品を一堂に展覧する機会を得たことで、金剛輪寺さまの歴史・文化財についてより奥行き深く皆さんにご紹介できたのではないかと思っていますが、いかがでしたか?

そして、連携したのは館だけではありません。お気付きでしたでしょうか。金剛輪寺さまと西明寺さまのそれぞれ時代の異なる「十六羅漢像」が並べて展示されていましたよね。湖東の近接する天台宗寺院にこのような本格的な作例が残っているということも、その地域を知る上で驚きであったのではないでしょうか。
所有者さまならびに歴史文化博物館の皆さまのご理解ご協力を得て、このような展覧会を開催できたことを、職員一同心から喜んでいます。「地域連携」企画展ココにあり!です。本当に有り難うございました。


さて、次なる地域連携企画展は、安土城考古博物館さんとの連携で「安土・桃山時代の近江展―琵琶湖文化館収蔵品を中心に―」を開催します。こちらもどうぞご期待下さいね。

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「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展 ギャラリートーク

湖国の紅葉もそろそろ見納めかな?という12月1日、「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展を開催中の愛荘町立歴史文化博物館では、ギャラリートークが行われました。会場では、地域の方や観光ボランティアの方、また観光で偶然立ち寄られたと思しき方など、25名が講師の話に熱心に耳を傾けられました。
今回の講師は、仏教美術の中でも彫刻が専門の和澄学芸員。先ずは滋賀県には多くの優れた文化財が残っていることのスゴさ、すばらしさを紹介。続いて金剛輪寺さまがどのようなお寺さまか、主に彫刻作品をスクリーンで紹介しながらトークは進みました。

続いて実際に作品を見ながら解説では、先ずは「孔雀文磬(けい)」の説明から・・・「よっしきた!」と先日ブログで紹介していた筆者:あきつとしては心の中でガッツポーズ(笑)。さらに『磬の”へ”の字の角度が緩いと作品年代が古く、時代が進むとどんどん角度が強くなっていく。この孔雀文磬は角度が緩やかで裏に製作年代(1222年:鎌倉時代)がはっきり書かれているので時代の参考になるいい作品です』と、なるほどの豆知識(!)も披露されました。これがギャラリートークの醍醐味デス。
そして、”豆”つながりで、個人的(個トンボ的?)に皆さんにぜひ紹介したい(!)のが、「漆塗太鼓形酒筒(うるしぬりたいこがたしゅとう)」です。この酒筒は、形は太鼓のように見えますが、用途としては祝いの席などでお酒をふるまう酒樽で、愛荘町の指定文化財にもなっています。皆さんは「日本昔ばなし」に出てくる『豆の木太鼓』をご存知ですか?和尚さんが残しておいたそら豆を小僧さんがこっそり食べてしまうアノお話です。実は、大木に育ったそら豆の木で作った太鼓がこの「漆塗太鼓形酒筒」だといういわれが残っているのです!(・・・実際にはケヤキ製・・・という不思議には目をつむり・・・)昔話を大切に語り継ぐ作品に出会えるなんて、何だかとてもステキです。
※フリーペーパー:滋賀の文化情報誌「Duet」2019秋号(サンライズ出版発行)にも紹介されています!

もう1つ、おそらく今回講師が一番熱く語らせていただいたのが、木造の阿弥陀如来立像です。「寺外初公開」でも注目をされていますが、いつもは国宝の本堂の後陣に安置されているほとけさまで、今回、特別に、本展覧会のために、お堂からお出ましいただきました(展覧会担当:ギャラリートーク講師:彫刻が専門:和澄学芸員たっての願いにより実現!)。阿弥陀如来は、極楽浄土から雲に乗ってお迎えにきてくだる姿が表現されていますので、少し前傾姿勢であることがわかります。衣や雲が風を受けて後方になびく様子などは、今回特別に厨子からお出ましいただいたからこそ拝めるお姿です。彫刻にうっとり:和澄学芸員は、「正面からだけではなくこの機会にぜひ横からも見てほしい」と熱く語っておりました(笑)。

最後に、あきつ君的豆知識を披露しておきましょう。「日本昔ばなし」つながりで、皆さん、『密僧坊(みっそうぼう)』をご存じですか?こちらも愛荘町さんのお話しです。ぜひチェックしてみてくださいね。
(会場にある記念スタンプ:向かって左が密僧坊!)

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「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展の工芸品

皆さん本展をご覧になって頂けましたか?金剛輪寺さまより当館がお預かりしている文化財の里帰り特別公開です。鈴鹿山脈に沿って南北に並ぶ西明寺、百済寺とともに「湖東三山」としても有名な天台の名刹。平安時代後半から鎌倉時代にかけて寺勢は隆盛をきわめ、この頃の文化財が数多く現存しています。本展では、その寺宝の数々が紹介されていますが、今日は、仏教工芸の文化財について、少しお話ししましょうか。

会場に入って先ず紹介されているのが「珠玉の工芸品」です。孔雀文磬、素文磬、金銅透彫華鬘、云々・・・待って帰らないでッ!!「難しい漢字に馴染みの薄いコトバでなんだかよくわからない」と諦めるのは未だ早い!「磬」や「華鬘」を何と読むのか、何であるのか、知っている人のほうが“稀”ではないでしょうか?「磬(けい)」や「華鬘(けまん)」は仏教工芸あるいは仏具に分類されます。純粋な金属工芸として鑑賞しても飽きることがなく、うっとりなんですよ~。

磬は法要に用いる楽器(梵音具:ぼんおんぐ)で、中央の撞座(つきざ)を叩いて音を鳴らします。出陳されている孔雀文磬(重文)も、撞座のあたりを中心に使用痕があるので、実際に使われていたことが分かります。どのような音が響いていたのでしょう?さて、磬に表された文様を見ていくと、撞座の左右に孔雀を配置しています。通常の孔雀文磬は左右対称の孔雀を表すことが多いのですが、こちらの磬をよ~く見てみると・・・、羽や脚の動きを左右で微妙に変えていますね。珍しい趣向を示しているものといえます。

一方華鬘は、仏堂内の柱や梁にかけて場を飾る装飾品(荘厳具:しょうごんぐ)として用いられます。金銅透彫華鬘(重文)は、銅板を切り透かす透彫(すかしぼり)したうえに線刻して、蓮華唐草文を表しています。同会場の特別展示室には現代に製作された復元模造がきらびやかなお姿で展示されています。こちらの華鬘の文様もじっくり見てみましょう!透彫は左右対称ですが、線刻は蓮の葉っぱのひるがえり方がちょっとだけ違います。う~ん、なかなか凝っていますね~。

出陳されている磬と華鬘、どちらも鎌倉時代を代表する金属工芸ですが、ぱっと見は左右対称のように見えるけれど、よく見ると少しだけ変えているのが分かって、「おもしろい!」と思える品だと思います。ぜひ展示室でじっくりご覧になってくださいね。

会場には、懸仏(かけぼとけ)や柄香炉(えごうろ)も展示されています。「へぇ~」「こんなのもあるの」と頭の片隅に置いていただけたなら、実際に寺院を訪れた時に「あっ、本当にある!」と気付く機会も増えると思いますよ。難しく考える前に、先ずは気軽にじっくりご鑑賞ください。
愛荘町立歴史文化博物館では、紅葉の見ごろを迎えた今週末、23(土)・24(日)は入館無料となります。また、12月1日(日)には、ギャラリートークもあります(13:30~)ので、ぜひ会場へ足をお運びくださいませ。

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「湖東三山 金剛輪寺の名宝」展とその周辺

地域連携企画展第2弾「湖東三山 金剛輪寺の名宝―滋賀県立琵琶湖文化館寄託品里帰り特別公開~」が始まって、早いもので2週間が経ちましたが、皆さまもうご覧いただけましたでしょうか?会場の愛荘町立歴史博物館は、紅葉の名所である金剛輪寺のまさにお膝元にありますので、「紅葉が見頃になったら行こうかな?」とお考えの方、今週末辺りからいよいよ見ごろを迎えますよ。行きドキです!しかも愛荘町立歴史博物館さんは、「関西文化の日」に協力されていますので、16(土)・17(日)・23(土)・24(日)は、入館無料でご鑑賞いただくことができます!紅葉狩りとともに、多くの方に企画展を存分に楽しんでいただければ幸いです。

さて、今回の企画展でご覧いただけるのは、平安時代から江戸時代にかけての工芸品・経典・絵画など、金剛輪寺に伝えられてきた寺宝の数々。その多くが重要文化財や県指定、町指定の文化財で、これらを見るだけでもお寺の長い歴史を感じることができますね。ところが、そもそもこのお寺の始まりはというと、なんと奈良時代にまで遡るそうです。伝承によると、聖武天皇の勅願により僧・行基(ぎょうき)が開いたのだとか。行基という人は、諸国をめぐり、橋を架けたり、堤防を築いたりという土木事業を行なったことで有名ですが、その背景には、当時の最先端技術を持っていた渡来人の力があったと言われています(行基自身も渡来系氏族の出身)。金剛輪寺のあたりは旧の秦荘町にあたりますが、秦荘の「秦」は、まさに古代にこの地域を本拠地としていた渡来系氏族「依知秦(えちはた)氏」に由来するとのこと。すると、行基がこの地に金剛輪寺を建てた背景にも依知秦氏の力があったのでしょうか。。。想像が膨らみます。

そして、この依知秦一族の祖先の墓と考えられているのが、愛荘町上蚊野から蚊野外の地にある古墳群です(金剛輪寺からは車で5分程のところ)。300基ほどもあったとされる大規模な古墳群は、終戦後の食糧難時代に行われた土地開墾などでほぼ消滅してしまいましたが、一部が「依知秦氏の里古墳公園」として残されています。実は、文化館には「秦荘・北蚊野古墳出土」と伝えられる須恵器の直口壺と金属製の馬具(雲珠:うず)が収蔵されてるんですよ。収納されていた紙箱には「昭和31年6月」の日付が記されていますので、当時県立産業文化館(文化館の前身です)の学芸員でいらっしゃった故・宇野茂樹先生が指揮されたという、昭和31年の滋賀県による調査の際に発見されたものでしょう。文化館と愛荘町(当時は秦荘町)のこんな頃からのご縁。ここにもちょっぴり長い歴史があったようです。

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「歴代天皇と近江」展と杉浦重剛

季節は少しずつ秋の気配を感じられるようになりましたね。甲賀市土山歴史民俗資料館で開催中の「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」展も開催期間残りわずかとなりました。しみじみ時間が経つのは早いものでございます。
さて、この展覧会では5つの章に分けて展示が構成されていますが、その内容や出品作品については、本ブログにおいて、2回にわたって開催されたギャラリートークの様子とあわせて紹介してきました【7/29付 第1・2章】【8/26付 第3・4章】。今日は残すところ最後の第5章「昭和天皇の侍講・杉浦重剛」について、お話ししましょう。

こちらの第5章については、皆さん意外でした?「杉浦重剛?誰?」「何故?」と思われました?杉浦重剛(すぎうら しげたけ)は、旧膳所藩(現大津市)出身の教育者で、昭和天皇らに帝王学の一環として倫理をご進講(説明)された方です。皇室と所縁の深い滋賀県出身者がいらっしゃったことに、先ず純粋に驚いてしまいますよね。また、杉浦重剛の門下生には、作家であり児童文学者として有名な巌谷小波(いわや さざなみ)がいます。小波は、文部省唱歌『ふじの山』や『一寸法師』の作詞者としても知られる一方、甲賀市立水口小学校の校歌も手掛けています。その小波の師匠に当たる方が杉浦重剛なのですよ。
本展に出品されている関係資料は、杉浦重剛と親交が深かった鉄道技術者の島安次郎の関係者から寄贈されたものです。大正の時代を感じさせる大礼服やモーニングなどは、展示会場でも目を引いたのではないでしょうか。大礼服についてはマネキンに着せてありますが、こちらを展示する際、ちょっとした苦労がありました。
このマネキンはもちろん現代のもの。スラッとしたイマドキ体型なのですが、それでも大礼服の袖を通すことは出来なかったとのこと。昔の人って、肩が張って体格が”イカツイ”イメージがあったのですが・・・着せてみてビックリだったそうです。(会場ではマネキンの腕を取り外して展示しています。)
杉浦重剛については、【浮城モノ語り第64話 昭和天皇と杉浦重剛】にも詳しく書いています。こちらも是非ご一読ください。

本展覧会は、9/29(日)までの開催です(休館:毎週月曜日・火曜日)。ちなみに会場の甲賀市土山歴史民俗資料館の近くにある「道の駅あいの土山」では、抹茶のソフトクリームが盛り放題!自分でモリモリのソフトクリームが作れます。但しスプーンは付きませんので盛り方・食べる時には注意が必要(笑)。近江随一の茶所:土山で食べる抹茶ソフトは格別です。展覧会を見た後にチャレンジしてみてはいかがでしょう?
みなさま秋の日和にぜひお出掛けください。

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「歴代天皇と近江」展 ギャラリートーク②開催!

8/24(土)、現在開催中の「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」展の第2回目となるギャラリートークが、土山歴史民俗資料館で開催されました。前回(7/27)のように台風の襲撃に怯えることなく、会場には前回を上回る大勢の方々がお越し下さいました。
ギャラリートークの様子は、7/29付けのブログでも掲載しておりますが、「今回も参加できなかった!」という皆さんのために、トークの内容を(前回に引き続き)、ちょこっと紹介しておきましょう。

ちなみに、本展は、5つの章に分けて展示されています。え~っと、前回のブログでは第1章・第2章について紹介しましたので、今日は第3章「天皇と皇族による書画や関係資料-天皇を身近に感じる-」から。大胆な構図に墨一色で大らかに描いた明正天皇の富士山図や、柔らかなタッチに親しみを感じる霊元天皇の宸画(自筆の絵画)などのほか、同じく霊元天皇が愛用したと伝わる御眼鏡など、珍しい品も展示されています。
こちらの写真で、皆さんが熱心に覗き込んでおられるのは、明治天皇の諱(いみな=実名)である「睦仁(むつひと)」という御名前が書かれた資料の辺り・・・講師が特にアツく解説させていただいたトコロです!!(何故なら昨年詳しく資料調査をし、研究紀要第35号に発表したため!)(サクッと知りたい方は、浮城モノ語り第51話を読むのがおススメ!)。

続いて第4章「御所と宮家ゆかりの絵師たち-華麗なる宮廷美-」では、京都御所や各宮家のお抱え絵師として筆をふるった画家たちの作品を紹介。写真に見えるのは、「図(塩川文麟筆)と「巖上咆哮猛図(岸岱筆)」ですね。文化館の数ある絵画作品の中から、特にこの2幅を選んだ理由の一つに、龍と虎は古来、英雄や天子などを象徴する画題として意識されてきたことが挙げられます。龍虎の猛々しさや神秘的なイメージが、天皇を象徴するもの、あるいは宮家に好まれる画題であったことも、こうしてみると理解できるような気がしますね。

そして最後の第5章は・・・あー残念!前回に引き続き、今回もやむを得ず字数オーバーとなりました!続きはまたの機会といたしましょう~~。

 本展覧会は、9/29(日)までの開催です(休館:毎週月曜日・火曜日)。みなさまぜひ会場にお立ち寄りください。

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8/24「歴代天皇と近江」展ギャラリートーク開催します!

甲賀市土山歴史資料館で、ただ今開催中の地域連携企画展「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」。皆さまもうご覧いただけましたでしょうか?今回の展示は、瓦や硯などの考古資料にはじまり、歴代天皇による絵画や書跡、また天皇家と近しい間柄にあった絵師や教育者などの作品や遺品など、とってもバラエティーに富んだ内容となっていますよ!展示会場では、来たる8月24日(土)13:30から、展示担当の井上優(琵琶湖文化館主幹)による、第2回目のギャラリートーク(展示解説)を行います。「まだ見に行っていないわ」という方はもちろん、「もう一辺ゆっくり見てみたいわ」という方も、ぜひこの機会に甲賀市土山歴史民俗資料館へお越し下さい。期間中のギャラリートークはこれで最後となりますので、お聞き逃しのないように!!

ところで、今回の企画展は、琵琶湖文化館の所蔵する歴代天皇に関する作品の数々を、「紫香楽宮(しがらきのみや)」や「斎王群行(さいおうぐんこう)」などで天皇家とのゆかりの深い甲賀市において、多くの方にご覧いただこうというねらいで行っております。でも、「紫香楽宮」や「斎王群行」と言っても、甲賀市外の方にはちょっと馴染みが薄いかも…と思って、ここでちょこ~っとご紹介させていただくことにします。

まず、紫香楽宮(しがらきのみや)というのは、今の甲賀市信楽町にあった古代の都ですが、奈良時代の天平14年(742)、聖武天皇によって離宮として造営が始められ、天平17年(745)正月には新京と定められました。あの奈良の東大寺にある大仏は、はじめこの紫香楽宮の甲賀寺に造ろうとしていたようです。ところが、地震や山火事などが相次いだことで、天平17年(745)5月にはこの都の廃都を決め、天皇は奈良・平城京へと戻られ、大仏も奈良・東大寺での開眼となりました。大正時代に国の史跡に指定された内裏野地区(内裏という地名ですが実際は寺院跡)は、こんな所です。(写真→)

時代は少し下って、平安時代。歴代天皇が即位されるたびに、未婚の皇女・女王のなかから選ばれた斎王(さいおう)が、天皇の名代として伊勢の斎宮御所へと遣わされました。伊勢への旅には、大勢のお伴が付き添ったので、斎王群行(ぐんこう)と言われます。旅の途上、斎王の宿泊された場所が頓宮(とんぐう)です。都が奈良から京都へ移ってのち、群行は近江を経由するようになり、仁和2年(886)年から長和5年(1016)までの間、土山に置かれたのが垂水頓宮。頓宮は仮の宮なので、群行が行われる度に建てられ、それが終わると解体されたようです。今、国の史跡となっている垂水斎王頓宮跡は、このような森として残されていますが、ここに幾棟もの大きな建物が建てられてたことを想像してみて下さい…。

それにしても、紫香楽宮、垂水頓宮と、大変な労力と資財を使って作った宮を、用がなくなったらいとも簡単に壊し捨ててしまう古代の天皇って!?そして、それができたのは杣(そま)(=寺社・宮殿の用材伐採地)が置かれるほど豊かな資源を持つ甲賀の地だから???う~ん、これだけを見ても「歴代天皇と近江」の関係にはとっても興味をそそられます。

さてさて、このように、天皇と甲賀の地には古代からの長く深~い関係があることがわかりました。歴代天皇にとっても近江はきっと特別な地だったのでしょうね。現地を訪れてみるとそのことが実によくわかります。8/24土山の資料館でギャラリートークを聞いて、展示をじっくり見たなら、今度は周辺の歴史探訪!!コレ、絶対にオススメです。皆さんもぜひお試し下さいね。

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「歴代天皇と近江」展 夏休みKIDSワークショップ開催!

現在、甲賀市土山歴史民俗資料館にて開催中の「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」展。4日(日)には、夏休みKIDSワークショップ『元号を書いてみよう』が開催されました。
展覧会の開催期間中に夏休みを含むため、当初から、「子ども達にも興味をもってもらいたい」「歴史にふれて欲しい」ということで、子ども達を対象に何か出来ることはないかと頭を悩ませていました。そこで甲賀市さんからご提案いただいたのが、毛筆で『元号を書いてみよう』だったのです。特に今年は元号が改まり、天皇家への注目も高まっているため、「夏休み企画でやるならコレでしょ!!やるなら今(今年)でしょ!!」と企画されました。当日は子ども達と、お父さんお母さんも一緒に「元号」について楽しく学びました。
先ずは、甲賀市教育委員会歴史文化財課資料調査員の伊藤誠之氏から、元号についての解説です。みなさんご存じでした?!元号はもともと中国で始まり、中国の影響を受けた東アジアでは元号を使うことが多かったのですが、21世紀になっても使っているのはなんと日本だけ!なのだそうです!!現在は1人の天皇に1つの元号と決まっていますが、昔は1人の天皇の在位期間中でも様々な理由で(めずらしい・めでたい出来事があった、天皇の即位、災害など)、短い間に何度も変わることもありました。また、日本の元号の始まりは、大化改新(西暦645年)の「大化」で、それ以降「令和」も入れて248個あるのだとか(諸説あり)。でも実は、元号に使われた漢字は73文字だけで、同じ漢字が繰り返し使われていることが多いようです。トップ3は、永(29回)・天(27回)・元(27回)。なるほどよく見る文字ですね。(ちなみに令和の「令」や平成の「成」は1回しか使われていないそうです!)いやぁ、子どもだけでなく大人も豆知識が増えるふえる(笑)。
伊藤氏は、「特に甲賀の人に覚えておいてほしい元号は『天正』」と、お話しされました。ヒントは「水口岡山城」です。それまでの統治とは異なり、甲賀の新時代の幕開けとなった、ということです。このあたり、夏休みの自由研究で、じっくり勉強を深めてほしいところですね。
ひと通りお話しを聞いた後、いよいよ毛筆で元号を書きます。子ども達は最初、「何の元号を書こう・・・」と戸惑いがちな様子でしたが、いざ書き出したら筆が止まらない(笑)。「先生、次書く紙が無い!」「書いたの置く場所が無い!」と、どんどん書いていきます。子ども達の『ハマりっぷり』には、こちらも嬉しくなりました(笑)。
最後に、伊藤氏が持っておられた硯(すずり)で墨(すみ)をする特別体験も。墨汁に慣れた子ども達には、とても新鮮で貴重な体験となったようです。


さてさて、子ども達にとっては、何がきっかけになるかわかりません。多くのことに興味を持って、この夏いろんなことに挑戦してもらえれば、きっと日本の未来は明るい!です!!

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「歴代天皇と近江」展 ギャラリートーク開催!

令和初の上陸台風が紀伊半島をかすめていった27日(土)、甲賀市土山歴史民俗資料館では、地域連携企画展「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」の初日を迎えました。台風の影響を心配しながらも、この日は開催記念のギャラリートークを実施。雨の中、熱心な方々がお集まり下さいました。

この企画展は、休館中の当館と地域の博物館や資料館が連携し、県民のみなさんに、より近しく琵琶湖文化館の収蔵品に親しんでいただく機会となることを願って企画されました。特に今年は、新元号令和への改元などをきっかけに、日本の歴史についての関心が高まっています。 紫香楽宮が営まれ、また、天皇の名代として皇女が伊勢神宮へ赴く「斎王群行」の道筋となるなど、甲賀市域は県内でも特に天皇家と関わりの深い土地柄です。「この展覧会を開催するのに、県内でこれほどふさわしい地域はない!是非歴史を身近に感じてほしい」との、講師の熱い言葉で、ギャラリートークは始まりました。

ちなみに、本展は、5つの章に分けて展示されています。先ず第1章の「近江の歴史と天皇」では古代の都にかかわりの深い考古資料について。甲賀寺跡(紫香楽宮関係遺跡)の出土品などは、地元の方にも大変興味深かったようで、お話の後、熱心に写真を撮っておられる方もいらっしゃいました。(会場内は写真フリーですよ~)
そして第2章の「歴代天皇の書-『宸翰(しんかん)』の魅力」では、先ずは『宸翰』たるものとは何ぞや?!というお話から・・・。そうなんですよね~。今回の展示でどうしようかと頭を悩ませたのが、如何せんコトバが難しいところ。。。つまりは「天皇さまがお書きになった書」のことなのですが、「○○天皇宸翰」と書かれると急に難しく感じてしまいますよね。そしてあとに続く「御詠草」や「御懐紙」などなど。これらは○○天皇が詠んだ歌を書いたもの、清書したもの・・・なのですが、講師曰く、見ていたただく際には、「(そのような難しい言葉にとらわれず)書かれている全体を見てほしい。天皇のお人柄をうかがい知ることができるこれらの書について、表装も含めておおらかに見ていただければ」とのことでした。ナルホドですね。つい何と書いてあるのか知りたくもなりますが、それぞれの書にそれぞれの特徴があり、「この書を書かれた天皇さまが在位されていた時代はどんな時代だったんだろう・・・」なんて深めていくと、もっと面白いにちがいありません。歴史を知るきっかけになれば嬉しいですね。

あー残念!第3章から第5章のことも書きたかったのですが、やむを得ず字数オーバー!(ギャラリートークではちゃんと最後まで話されました!)。続きはまたの機会に~!

気になる方は是非会場へ足をお運びください(入場無料です!)。8月4日(日)には夏休みKIDSワークショップとして、「元号を書いてみよう!」が開催されます。対象は小学3年生~中学生です。夏休みの宿題にもピッタリ(?)です!また、ギャラリートークは8月24日(土)にも行われます。今回、残念ながら聞き逃した!という方は、こちらの方で是非ご参加下さいませ。今から願うことは、「どうか台風が来ませんように・・・」ですね~。いよいよ夏本番です!

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まもなく開催!「歴代天皇と近江」展

今年の梅雨は、なかなか明けてくれませんが、日にちの経つのは早いものでございます。まだまだ先のコトと思っていた地域連携企画展「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より-」の開催が迫ってまいりましたよ~。
本展は、甲賀市にある土山歴史民俗資料館での開催です。出陳のために梱包された作品たちは、本日朝9:30、「いってらっしゃ~い!!」とお見送りの声も華々しく(?)、無事当館から旅立っていきました。今頃は、甲賀市さん協力のもと、着々と会場準備が進んでいるものと思われます。ムフフッ。

このような時、お留守番で館に残る事務系職員としては、無用の心配を重ねてしまうもの・・・雨で道は渋滞してないか、積み残しはないか、こちらが用意したパネルに不備はないか等々・・・でも大丈夫!準備万端!みんなで確認しながら用意をしたので、「オールOK」!!でございま~す。あとは現場に託すのみ!吉報を楽しみに待ちましょう~!

一つの展覧会・・・とは言え、展覧会は学芸員だけのモノにあらズ・・・です。今回事務系職員も、パネル作成をちょこっとだけお手伝いさせていただいております。こういうトコロが文化館的と言いましょうか、少ない人数での総力戦と言いましょうか(笑)。館としての一大イベントでもありますので、みんなで盛り上げることを楽しんでいます。
ということで、会場には文化館キャラクター「あきつ君」とともに、このようなイラストも多数送り込まれていますので、こちらの方もお楽しみに。。。

展覧会の開催準備に追われる学芸員さんたちの間で呟かれる、魔法の言葉があると聞きます。・・・『開かない展覧会はない』・・・(笑)。本展の担当さんは、「大丈夫!」「おっけい!」「問題なし!」が最近の口癖になってます(笑笑)。開催までまもなくです!みなさんも楽しみにしていてくださ~い。

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地域連携企画展を開催します

近畿地方は梅雨入り直前。うっとうしいお天気続きに、気分も滅入りがちになりますが。。。そんな時こそ、あきつブログで新しい情報を仕入れて、ワクワク・ドキドキはいかがでしょうか?

さて、皆さまには、当館ホームページの「収蔵品公開情報」なども、つねづねチェックしていただいていることと思いますが、ご覧の通り、近ごろは東京やアメリカなど、文化館の収蔵品がずいぶんと遠いところまで旅立っているでしょう?「世界に羽ばたく文化館」も、なかなか素敵。でも、やっぱりね、これまで長い間、地域の方々に支えられてきた文化館ですから、滋賀という風土のなかで、地元の方にも気軽に足を運んでいただける展示会で、たくさんの収蔵品を見て頂きたい、という思いは、ずっと持ち続けておりますよ。

ということで、今年度は滋賀県内の3つの地域の博物館・資料館のご協力を得て、「琵琶湖文化館地域連携企画展」を開催することになりました!

第1弾は、甲賀市土山歴史民俗資料館を会場に、「歴代天皇と近江-滋賀県立琵琶湖文化館 館蔵品より」という企画展に決定しました。会期は、来たる7月27日(土)から9月29日(日)の約2ヶ月間の開催です。今年は、お代替わりによって天皇家への注目が集まっていますよね。そんなご時世にも敏感な文化館。館蔵品の中から、今までまとめて展示される機会が少なかった、歴代天皇に関係する選りすぐりの資料をご覧に入れることになりました!(展覧会の概要はコチラをご覧ください。)出品資料など詳細は追って、HPでもご紹介していきますので、これからもチェックして下さいね。

企画展の開催に向けて、スタッフ一同頑張りますので、どうぞ皆さま、楽しみにしていてくださいね!

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「金谷展」いよいよ16日(土)から

先週末には「びわ湖開き」も行われ、湖国滋賀はこれからが春本番です。先日、近くの図書館へ行ったところ、閲覧室の一角が梅花のごとく色づいていて…思わず近づいて見ると、なんと!!それは、「旅する画僧・金谷-近江が生んだ奇才-」展のポスターでした!(かなり目立つ場所に掲示していただいてます!!図書館さんありがとうございます!)

タイトルにあります「金谷」は、湖国を代表する江戸時代の絵師・横井金谷(よこい きんこく)のことです。この展覧会は、草津市立草津宿街道交流館滋賀県立近代美術館・県立琵琶湖文化館が初めて合同で開催するもので、3館の所蔵する金谷作品が、ゆかりの地・草津市一堂に展覧されます。詳しくはホームページの「展覧会」でもご紹介しておりますが、いよいよ3月16日(土)から始まります。当館からは、一挙に収蔵品8件の出陳。中でも「梅花書屋図・雪景山水図」は、修理後初の公開として注目の作品です。春の湖国に美しく蘇ったその姿は一見の価値あり!この機会にぜひご堪能いただきたいと思います。

 【展覧会名】旅する画僧・金谷-近江が生んだ奇才-
       (滋賀県立近代美術館県内移動展示事業・草津宿街道交流館春季テーマ展)
 【会場】草津市立草津宿街道交流館 (滋賀県草津市草津3丁目10-4) 
 【会期】平成31年3月16日(土)~5月12日(日) ※会期中展示替えがあります。
 【休館日】会期中の休館日 3月18日・22日・25日、4月1日・8日・15日・22日、5月7日
 【開館時間】9時00分から17時00分まで ※入館は閉館の30分前まで

本日は、この展覧会の開催準備で、作品の集荷に来られています。担当学芸員さんの達の様子からは、作品を扱う緊張感と展覧会に向けての高揚感が伝わってきます。”力”入ってますよ~。展覧会が楽しみです。

会期中には関連イベントとして、
3月16日(土) 講演会「金谷入門」
      会場:太田酒造株式会社 道灌蔵2F
3月23日(土) 学芸員によるギャラリートーク
      会場:草津市立草津宿街道交流館
が実施されます(いずれも14:00~)。

お話を聞いて作品を見ると、新たな発見がありますよ!よい機会ですので、皆さま奮ってご参加下さいませ。(展示会場は「草津市立草津宿街道交流館」ですので、お間違えのないように。)

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【期間限定】“ABK88”結成しました

当館のホームページをいつもチェックして下さっている方は、もうお気づきのことかと思いますが、「収蔵品公開情報」コーナーには、今年もまた新着情報が次々と到着しております。その中で、明日2月8日(金)から始まる、滋賀県立安土城考古博物館さんの第59回企画展「近江の考古学黎明期-近江風土記の丘50周年キックオフ企画―」は、な、な、なんと!当館から一挙に88点もの収蔵品が出陳されるという、注目の展示会となっております!

この展示会に当館から出陳している内容は、公開情報に掲載の通り、土器やら石器やら瓦やら…いわゆる遺跡から出土した考古資料が中心となります。「文化館に考古資料なんてあったの?」な~んてこと言わないで下さいね?!あるんです!文化館の収蔵する資料は、新聞の見出しを「新発見」「最古の」「最大の」などと賑わすようなものではないかも知れませんが、昭和23年から36年までの県立産業文化館(琵琶湖文化館の前身)時代から引き継がれたものも多く含まれており、これこそまさに”近江の考古学黎明期”を築いてきた資料と言えるでしょう。

どういうことなのか、ちょっと説明させて頂きますと…つまり「文化館の考古資料には日本の考古学史が凝縮されている」ということなんです!!そして、そういう意味で、世界に(←大きく出ましたね~)誇るべき「お宝」コレクションだと、自負しておりますよ!!(「親バカ」ですか?(笑))それからまた、このコレクションは、産業文化館以来、歴代の技師・学芸員たちが、地道な努力とその素晴らしいセンスを以て行い、また、引き継いできた資料収集活動の結果なのです。まさに”汗と涙の結晶”だということも、忘れてはならないでしょう。

※文化館の収蔵品が、日本の考古学史上どんなに重要なものであるかは、「浮城モノ語り」第29話 第35話 第39話 第43話 第47話 第50話 第53話 第60話で、コッテリと書いておりますので、お時間のある方はそちらもぜひご参考になさって下さい。

さて、そういった文化館の収蔵品の中かから、このたび安土城考古博物館さんへ出陳いたしますのは、これまたさらに「選りすぐり」の88点。末広がりで縁起の良い数となりましたので、特別にまとめて「ABK(っとおどろく んかかんの うこしりょう)88」と(勝手に!)名付けて送り出すことに致しました!!(笑)こんなに数多くの文化館収蔵品を一度に見ることの出来るチャンスはなかなかないかと思います。考古学ファンの方はもちろん、文化館のことをもっと知りたい!と常々思って下さっている方にも、ぜひとも今回は、応援に足を運んでいただきたいです。(ちなみに、”総選挙”は予定しておりませんので、あしからず。)展示会の会期は、4月7日(日)まで。詳細は安土博さんのホームページをご覧ください。

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世界記憶遺産『 朝鮮通信使に関する記録 』登録記念展 にて!

昨日(4日)、世界記憶遺産『 朝鮮通信使に関する記録 』登録記念展が開催されている安土城考古博物館さんでは、関連講座「朝鮮通信使と近江」が行われ、85名の皆さまにご参加いただきました。朝鮮人街道の名が残り、近江八幡市の資料が登録されたこともあって、地元近隣の方々も多くご参加いただき、このような展覧会や講座を共催という立場ながら協力することが出来て、本当に良かったなと思います。また、講座終了後には、ギャラリートークも行われ、展示作品を見ながら1点1点について、詳しい解説がありました。

さて、ここで皆さんに質問です。会場をご覧いただいた方は、不思議に思われたかもしれませんが、今回展示されている作品は4点。その内「世界の記憶」に登録された資料は3点で、あとの1点は参考資料として、当館の館蔵品から雨森芳洲の書跡:七絶「性愛楊花云々」1幅が展示されています。それは何故でしょう??
雨森芳洲は、現長浜市高月町の出身と伝えられ、朝鮮外交を担っていた対馬藩において、その最前線に立って多くの功績を挙げた日本側のキーパーソンです。この度のユネスコ登録においては、長浜市芳洲会所有の「雨森芳洲関係資料」(重要文化財)が登録されています。ユネスコへの申請段階で、当館の書跡も候補に挙げていただいたのですが、全国の「朝鮮通信使関連資料」を精査するにあたり、どうしても「書」関係の資料が多くなるので、泣く泣く(?)申請を取り下げたという裏話があります。
とは言え、このキーパーソンが対馬にいた時に書いた「書」ですので、今回「参考資料」として特別に出陳していただくことになりました。

「七絶」は、七言絶句:漢詩の詩体のひとつで、書かれている文字を現在の読みやすい字に直すと、
性愛楊花度筬春蒼顔白髪/海西浜高僧此去人相問為/説柴桑今有人
芳洲 八十五歳書
となります。
性(生まれもって)、楊花(ネコヤナギの花)を愛して幾春を度(わた)る・・・
漢詩なので読み下しが難しいところですが、「対馬での暮らしも長くなったが (決して嫌々住んでいるのではなく、むしろ詩人・陶淵明のような心境で、喜んで対馬に住んでいるよ)、もし人に尋ねられたら元気にしていると伝えてほしい」というような内容が書かれています。

この書は、会場で登録認定作品の近江八幡市指定文化財「李邦彦(イ・バンオン)詩書」と並んで展示されていますが、両方ともよく似た字体で、全体の雰囲気が同じように感じられます。「きっとこの時代のアジア地域でお手本となる書がこのような感じで、国際的教養人が理想とした書風だったのでしょうね」というまとめを経て、ギャラリートークは無事終了いたしました。皆さんも会場で是非見比べてみてくださいね。(登録記念展は3月18日(日)までの開催です。)

筆:あきつ

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安土城考古博物館で明日から開催!

いよいよ明日(2/24)から、特別陳列「世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展」が始まります!会場は滋賀県立安土城考古博物館での開催です。
展覧会の開催に併せて、当館のホームページの特設展覧会情報も更新させていただきました。ご覧になっていただけましたか?
この展覧会には、昨年10月31日にユネスコ「世界の記憶(世界記憶遺産)」に『朝鮮通信使に関する記録』が決定されて以降、朝鮮通信使の行列が描かれた当館の館蔵品「琵琶湖図」が初めて出陳されます。県立である当館の館蔵品=滋賀県所有の文化財=県民皆さんの宝です。朝鮮通信使とご縁があったこの滋賀県で、ユネスコ登録を記念する特別陳列。私たちが住む地域のこと、文化財のことを知る機会として、是非皆さま会場へ足をお運び下さいませ。

「琵琶湖図が気になる」「安土城考古博物館へ見に行ってみようかな」と思っていただいた方に、せっかくですのでちょっと気になる「小ネタ」を紹介しましょう。
県道2号大津能登川長浜線の日野川辺り、野洲市と近江八幡市を結ぶ仁保(にぼ)橋の欄干には、朝鮮人街道の歴史を伝える解説と「琵琶湖図(滋賀県立琵琶湖文化館)」「朝鮮通信使行列絵巻(佐賀県立名護屋城博物館)」のパネルが設置されています。車で通り過ぎると「アッ!」という間なので、気付きにくいかもしれませんが、ゆったりと橋を歩いて渡ると、川風が心地よく、思わず立ち止まって解説をじっくり読みたくなること請け合いです。朝鮮人街道には、ゆかりの道標(石碑)も多く残っているようですから、江戸時代の通信使たちに思いを馳せて、歴史散策を楽しまれるのもオススメです。
展覧会への行きがてら帰りがてら、是非チェックしてみて下さいね。

筆:あきつ

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世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展 開催決定!

展覧会の開催お知らせです。
昨年10月31日、ユネスコの「世界の記憶」に、「朝鮮通信使に関する記録」が登録されたことを祝い、滋賀県では安土城考古博物館で特別陳列が開催されます。
朝鮮通信使に関する資料には、当館の館蔵品である「琵琶湖図」や近江八幡市所蔵の「江州蒲生郡八幡町惣絵図」、同市本願寺八幡別院所蔵の「朝鮮通信使従事官李邦彦詩書」などがあり、登録決定後初めて、県内で皆さんにご覧いただく機会となります。

展覧会名:特別陳列「世界記憶遺産『朝鮮通信使に関する記録』登録記念展」
会  場:滋賀県立安土城考古博物館(滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678)
会  期:平成30年2月24日(土)~平成30年3月18日(日)

実は、当館の「琵琶湖図」については、ユネスコの決定を受けて「是非展示に貸してほしい」という他県の美術館さんからの依頼がございました。が、しかし!そこは何よりも先ず「地元の皆さんにご覧いただきたい、作品の文化的価値を知っていただいて、滋賀の誇りにしていただきたい!」という思いもあって、断腸の思いで他県からの依頼をお断り・・・しての登場となります。
もちろん他県からのご来場も大歓迎ですので、この機会に是非、多くの方々にご覧いただければと思います。

筆:あきつ

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みんなの食卓、美味しくなあれ~!!

天気予報での雪だるまマーク☃がだんだんと南下して参りました。今晩は滋賀県南部でも雪になりそうです。こんなに寒い日は、風邪をひかないように、温かくて美味しいものを食べて、元気をつけなければいけませんね~。
人間にとって食べることは、毎日の、そして生きるために最も大事なこと。それだけに、食材をいかに美味しく調理して食べるかは永遠の課題であります!今の世の中には、調理済の美味しいものもあふれかえっていますが、ここに至るまでの長い間、特に電気もガスもなかった時代、人は何をどのように調理して食べてきたのか?そんなあなたの疑問に答えてくれる(かも知れない?)展示会が、今、大津市瀬田の滋賀県埋蔵文化財センターで開催されています。

タイトルはズバリ、『美味しくなあれ~近江の調理史~』。主に、滋賀県内の遺跡から出土した土器や石器、木器など調理に使った道具や、動物、植物など食材としたものの展示で、先人たちが何をどのように調理してきたのかを、実際のモノを通して知ることができます。本当にさまざまなモノが集められているので、見ていくと驚かされることばかりですよ!


この展示会には、文化館所蔵品もいくつか出陳しておりますが(詳しくは、収蔵品公開情報をご覧ください)、今回は収蔵品だけでなく、ロビー展示の最初のところに、なんと「琵琶湖文化館コーナー」なるものを特別に作っていただき、ポスターでの文化館の紹介なども行っていただいております(埋文センターさん、どうもありがとうございます!)。

そして、大通寺古墳群出土の炊飯具(ロビーの真ん中入口寄りにド~ンと置いていただいてますが、ミニチュアでないので場所を取ってどうもスミマセン)は、文化館の隠れた人気者なので、皆さまにもすでにおなじみでしょうが、今回の文化館的おススメは、恥ずかしがり屋のため(?)今まで展示に出る機会の少なかった「石器コレクション」です!

中でも、仲良しさん9点揃っての出陳となった「石匙(いしさじ)」は、あの“石の長者”木内石亭が著書『雲根志』の中で「天狗の飯匕(めしがい)」という俗称を紹介したことを受けて、明治時代にこのような名前が付けられたのですが。。。見たところ、ちょっと。。。お匙(スプーン)のように食べ物をすくうことはできなさそう。。。では、いったい何に使ったの???これにはいろいろな説があるようですが、今回展示を担当された埋文センターの技師さんは、「食材を○○○するのに使ったのではないか?」と、おっしゃられています。○○○とは何か?答えは。。。ちょっとここではカットさせていただきますが。。。みなさま、どうぞ埋文センターで実物をじっくり観察して考えてみて下さい!

ということで、この展示会、『美味しくなあれ~近江の調理史~』は、平成30年7月13日までの間、滋賀県埋蔵文化財センターにて開催されていますので、みなさま、ぜひぜひご覧くださいませ。(詳しくは、滋賀県埋蔵文化財センターまでお問い合わせ下さい。)

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海北友松「檜図」:文化館以外で初公開!

ようやく滋賀でも桜の花が盛りを迎え、存分に春を感じられる季節となりました。今日は、陽気につられてお出かけするのにぴったりのイチオシ!展覧会をご紹介しましょう。

本日より、京都国立博物館で、開館120周年を記念する「春の特別展」として、「海北友松」展が開催されています。この展覧会は、ここ10年にわたり狩野永徳や長谷川等伯といった桃山絵師に焦点を当てて開催されてきた京博さんの特別展覧会の完結展としても、大変興味深いのですが、実は僕もある特別な理由から、とっても楽しみにしていたのです。

その理由の一つ。琵琶湖文化館では、昭和61年に開館25周年記念特別展として「海北友松」展を開催しています。そのサブタイトルは「-湖国が生んだ桃山時代の巨匠!-」。展覧会ポスターには、おそらく当時としては珍しい「!」マークがしっかり入っていましたし、当時の様子を知らない僕でもそのポスターから受ける印象には、「イチオシ感」満載だったので、図録をうっとり眺めたりしていたものです。
海北友松は、江北小谷城主浅井長政に仕えた重臣の子として近江に生まれ、独自の画風を築き上げました。その画風は、華麗な・・・というよりは、激しく凄まじくダイナミック?!「龍図」と聞いてギョロッと睨みを利かせた眼の水墨画を思い浮かべたなら、それはきっと海北友松の作品かも?この度の展覧会では、図録で見ていた作品もお目見えするそうなので、実物のその迫力をじっくり体感(拝見)したいと思います。

そしてお楽しみ理由のもう一つ。何を隠そう、この度の「海北友松」展には、当館の館蔵品も出品されています。それがナント!琵琶湖文化館以外では初の公開となる!「檜(ひのき)図屏風」です。今は休館していますが、開館していた当時、常設展示にさらっと海北友松の作品が並んでいたあたりが、琵琶湖文化館のすごいところだと思うのですが・・・(自分で言う?!)。
今回久方ぶりに皆さまにご鑑賞いただく機会を得ましたこと、とても嬉しく、また、大変有り難く思っております。

他にも滋賀県からは、湖北長浜の浄信寺さまご所蔵の滋賀県指定文化財「東王父西王母図屏風」が出陳されています。この機会に是非、「湖国が生んだ桃山時代の巨匠!」の作品を、会場でじっくりとご鑑賞くださいませ。展覧会は5月21日までの開催で、これらの作品は会期中通期展示で公開されています。

筆:あきつ

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いよいよ明日から!

現在休館中の文化館ですが、実はちょっぴり楽しみにしている展覧会があります。それは、明日から始まる安土城考古博物館さんの企画展「大湖南展-栗太・野洲郡の風土と遺宝」(会期:平成29年2月25日(土)~4月9日(日))です。きっとみなさまも、楽しみになさっていることと思います。

この展覧会には、旧栗太・野洲郡域に当たる湖南地域の仏像・神像たちが大集合!ということで、文化館が社寺さまからお預かりしている寄託品の中から10件の仏像・神像、そして絵画が、出展されます。ポスターやチラシにも掲載されているあの文化財たちですョ。(詳しくは収蔵品公開情報をご覧くださいね)。

まだまだ雪のちらつく日もありますが、時折みえる太陽は日に日に明るさを増し、春のお出かけにウキウキ心を弾ませる季節となってきました。この機会に、安土までちょっと足を延ばしてみませんか?普段はなかなか見られない文化館の収蔵品を含む、近江・湖南地域の優品(重要文化財・県指定文化財も多数!)に出会えますよ。

展示期間中には、企画展関連博物館講座も開催されます。第1回(2月26日(日)13:30~15:00)は、当館学芸員の渡邊勇祐が「湖南の仏教絵画」というテーマでお話いたします。実はこの学芸員さん、今、隣の席で講演会の準備に没頭中です。その様子から察するに、いつにも増して練りに練ったお話になりそうです。みなさま、どうぞご期待下さい!(展示会・講座についての詳細は、安土城考古博物館までお問い合わせください。)

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11月23日の「つながる」

20161124-111月23日、この日は滋賀県立近代美術館での「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展の最終日でした。展覧会が始まった頃には、薄手のカーディガンで丁度良いくらいの気候でしたが、40日間の期間を経て、辺りの紅葉はすっかり進み、ダウンジャケットが恋しい季節となっていました。
展覧会終盤に、ご後援をいただいたテレビ局で放送していたいたこともあり、その反響で地元の方が間違って当館を訪ねて来られるなど、ちょっとしたハプニングもございました。同じ大津市内とは言え、琵琶湖文化館と近代美術館は車で30分くらいの距離があります。無事に着けたかな?会場はどんな様子かな?と、気になる日々でもありました。
最終日の会場は、一堂に展示された滋賀の文化財を鑑賞しようと、大勢の方が来場されており、僕は思わず笑顔になってしまいました。地元の方と思しき年配のご夫婦、観光で来られた子ども連れのご家族、様々な方たちがじっくり作品を見て下さっています。中にはガラス越しに単眼鏡で食い入るように作品に見入る方がいらっしゃいました。学生さんでしょうか。若い人たちが、こうして時代を経た文化財の事を研究し、勉学に活かしてくださる機会となったことも、とても嬉しかったです。ご鑑賞くださいました皆さま、本当に有難うございました。

そして僕はと言えば、ぐるっと展示室内を一周しながら、展示されている文化財たちに「ではまた、文化館でお戻りをお待ちしていますね。」と挨拶をして、会場を後にしたのでございます。

さて、次に僕が向かったのは、大津市内のホテルで開催された「新生美術館 県民フォーラム2016-「美の滋賀」を未来につなぎ 世界に開く-」20161124-2の会場です。この日の参加者は約330名、皆さんの関心の高さがうかがえます。先ずは俳優の滝田栄氏の特別講演があり、続いて新生美術館の設計の概要が説明されました。後半には滋賀県知事も交えたパネルディスカッションが行われ、滋賀が持つ美の力について、またその発信の在り方など、5人のパネリストが、それぞれの思いを発言されました。

実はこの日この会場で、僕は「とある出会い」をしています。それは「自分の父が琵琶湖文化館の創立時に寄附をしている、その名前が文化館の銘板に残されていると、亡くなった父から聞いている。確かめたいので写真を送ってほしい」という女性との出会いでした。さっそく確認すると、確かにお父さまのお名前が、銘板に刻まれています。20161124-3写真を撮ってメールで送ると、「証が残されていてとても嬉しい」と喜んで下さいました。

「あぁ、なんだかつながっている」と、しみじみ・・・気持ちがあたたかくなった出来事・・・なのでした。

筆:あきつ

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「つながる美・引き継ぐ心」 番外編:お不動さま

現在、滋賀県立近代美術館で開催されている「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館-」展。みなさま、この展覧会の第3章「つながる」に出陳されている不動明王さまを、もうご覧いただけましたか?
このお不動さまは、近江八幡市の伊崎寺さまのご所蔵で、平成18年に国の重要文化財の指定を受けた際に、琵琶湖文化館で展示をさせていただくこととなり、その時のご縁で今回出陳されています。(現在は、この不動明王さまは比叡山国宝殿で管理されています。)

先日、お不動さまを寺の本堂から琵琶湖文化館へ搬入した時の、懐かしい写真を見つけましたので、2016isaki-1今日は是非、皆さんに当時の職員さんたちの武勇伝(?!)を紹介させていただきたく。。。
平成18年3月25日、琵琶湖文化館から学芸員さんとこの日出勤していた男衆(事務方・警備員)含む6名、滋賀県教委文化財保護課から2名、長浜市の学芸員さん1名の応援をいただき、総勢9名の強者たちが、近江八幡市の湖岸にある「伊崎の竿とび」で有名な伊崎寺のお山へ向かいました。これだけの人数で出陣?!した理由は、不動明王坐像とその光背、附の二童子像を、梱包の専門業者にお願いするでなく、自分たちでほとけさまを山から下ろし、公用車で運ぶという重大な使命があったからです。2016isaki-2
朝一に文化館を出発、お寺さまに着くと、先ずは堂内でほとけさまの状態確認。それから梱包、輸送、文化館に搬入・・・と、お戻りはお昼をまわってました。

この日、文化館でお留守番をしていた僕が、よ~く覚えていることがあります。それは無事にお不動さまが文化館に到着され、ほっとした時の皆さんの会話です。
学芸員ではないものの、力自慢としてこの日応援に駆り出された職員さんたち。大仕事に緊張されていたのでしょうね。高揚感というか、達成感というか、皆さん一様にテンション高めでした(笑)。「普段慣れていないので、梱包資材を運ぶだけでも手が震えたわ。」「ベテラン学芸員さんの指導があったからこそ(言われるとおりに)うまく運べて良かった。」「足元がズルッといきそうだった時、後ろから支えて貰って本当に良かったわ。助かった有り難う。」など、顔を紅潮させて話しておられたこと、僕はよ~く覚えています。あ~僕も行きたかったな、と(笑)。

もちろん文化財を扱われるのは専門知識と技術をお持ちの学芸員さんです。この時も何でもない顔をして、笑って話を聞いておられました。でも、事務方が必要とされてお手伝いに駆り出されるということは、それだけ信頼されているということです。時にはこうして助け合い協力させてもらうことで、展覧会が学芸員さんだけのものではなくなる・・・それが万年お留守番の僕にとっても、とても嬉しい出来事だったのです。このアットホームな感じ(?)が、琵琶湖文化館ならではのエピソードだと思います。

さて、今回の展覧会でそんな懐かしい思い出の「ご縁」をいただきましたので、この時行きそびれた僕は、皆さんが行かれた道を、いざ伊崎寺へ、行ってみる決心をいたしました!20161111今でこそ参道には砂利が敷かれてとても歩きやすいですが、当時は石がゴロゴロしていてとても歩きにくかったと聞いています。・・・そうかぁこの道をお不動さまを背負ってボチボチ下ったか・・・この辺かな?ズルっといったの(笑)・・・頭の中では当時の会話が思い出されてとても楽しい道行。駐車場から15分ほどで本堂に着くと、琵琶湖から吹く風の音がなんとも心地く、そこはまさしく癒しのパワースポットでした。

来れて良かった~!っと、大満足の帰り道、「あ、駐車場が見えた」と油断したところで、僕の足は「ズルっ」と・・・コケてませんよ?!そこは踏ん張りましたよ?!!・・・きっと僕は間違いなく、文化館ファミリー・・・と、再確認した帰り道なのでした~~ イヒッ!!

筆:あきつ

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つながった美・引き継いでね心

このブログでも何度も紹介しておりますが、ただ今、数多くの文化館収蔵品が県立近代美術館での展示のため出張中です。前回のブログでもお知らせした通り、この展示、11月1日からいよいよ後期展示に突入いたしました。展示替えが行われ、さて、うちの収蔵品たちはこの頃どうしているんでしょう??ということで、その様子を見に行って参りました!

美術館のある文化ゾーンは、丘の上にあるため、木々の色づき具合も打出浜周辺より一段と進んでいて、本当によい感じ。。。文化の日の3日(祝)には、この一帯で新生美術館見本市「美の糸口ーアートにどぼん!!2016」などのイベントが行われ、うちのあきつ君も密かに「仏像ワークショップ」コーナーに出演していたようで~す(やったね)!!

そして、近代美術館での収蔵品たちはというと。。。?展示室に入ると、後期展示から登場した掛軸や屏風たちには、まだ少し緊張の面持ちが見られましたが、前期から出ている文化財たちは、もうす~っかり馴染んでいる様子。搬出の日、大人4人がかりで運びだされた寂室元光さまも、展示室の真ん中でゆったりとお座りになっていらっしゃいましたよ。

「第5章 つなぐ」の場面では、文化館と近代美術館のそれぞれの収蔵品の中から、同じ作者:紀楳亭の「蓬莱群仙図」が肩を並べており、また近江を代表する絵師:高田敬輔先生の兄弟弟子たちの作品が揃って旧交を温めているなど、なかなかに感動の再会を果たしておりました。さらに、別室の常設展にいらっしゃる遊亀さん(以前は文化館で一緒に暮らしておりました!)とも、なつかしい思い出話に花を咲かせ。。。どうやら「美」はここでもしっかりとつながったようです。

では、「心」の方は??引き継がれるべき心は、文化館だけのものではなく、この半世紀、文化館を支えて下さった県内外の多くの方々とつながっているものです。この絆を一旦解き、もう一度結び直そうというのですから、並大抵のことではないでしょう。一層の努力と、そして少しばかりの時間も必要かも知れません。今回の展覧会がその種となり、いずれ芽を出し、花を咲かせ、また結実し。。。収蔵品とともに「心」も、次の世代へしっかりと引き継いでいって欲しいなあと。。。そんな思いを抱きつつ、美術館を後にしました。

p1050920-2「つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡とあらたな美術館」(於:滋賀県立近代美術館)は、11月23日(祝)までの開催です。みなさまにも、一度と言わず、二度でも三度でも、文化館収蔵品の様子を見に行っていただけると、とても嬉しいです。

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